変革期

子どもを取り巻く環境は古いものと新しいものがある。

古いものは、昔のやり方に固執し、そのやり方がもっとも正しいのだと信じ込み、何も変えようとはせず見た目のところばかりを新しくすることに力をいれている。新しいところは、昔のやり方にこだわらずに自分自身を刷新し、新しいものを受け容れ、昔のやり方を今にあうように工夫し改善を続けている。

ちょっと前にある組織のお手伝いをする機会があった。

そこは、何十年も前から組織を維持するための方法を継承されていて、常に旧体制からの上位下達の仕組みが導入されていた。

一般的な商売の関係とも異なり、どこかからか毎年自動に入ってくる予算で運営する組織というものはどこか組織運営に独特の文化のようなものがある。派閥ではないけれど、誰を中心に組織するのかで組員という組織の一員としてそこに所属することが成り立ち、そこでどのように振舞うかが重要になる。

何々組ではないけれど、その都度、組の長が代わればどの組に所属して活動するかがもっとも組員の中では重要であり、その組にいる間は必ず組の長に従うという絶対ルールがある。そうやって組織を運営することで象徴的地位を確立し、様々な集団としての総勢圧力を外部へ向けてかけていくこともできる。

もちろんそこに関わる業者はよく力関係を見抜き、自分の立ち居地を上手に振舞うことでお金儲けをしているところもたくさんある。

もちろん、単体では大勢に向けて言いたいことが言えないから力がないからとそれぞれの利権を維持するために団体組織を創る。

その組織力の維持のために、様々な上位下達の仕組みや集団を維持する村文化を取り入れ組織に加盟するものを守ろうとする。

しかし、現在いくつかの業界ではすでにその組織の力が衰えている分野が増えてきているようにも感じる。もし、それぞれの施設が組織に頼らなくても単体で運営できるということになればそこに組織の影響力は働いてこない。

今は、個々の判断が早急に求められるITの時代に入っている。
それに益々個人主義は進み、格差が広がり、臨機応変にそれぞれの能力で自立していくことが求められる。

今までどおり、いつか誰かが何とかしてくれるということではどうにもならなくなってきている。誰かが言っていたからや、皆がそうだからという判断に委ねるのではなく、情報に対して自分で選び判断するという、自立した主体的な関わりが選択する上でも必要になってくる。

組織自体も、昔と環境が変わってきているのだから今の時代の組織に変えていく努力なくして組織維持などできるはずがない。しかし、よく観ているとあまり組織維持の仕組みは変わっていないし、きっとこれからもそうそう変わることはない。

なぜなら今まで、それで上にいくことが良かれとして、上位下達の文化を維持するために努力しそれぞれぐっと堪えて我慢してきたことが邪魔をして新しい組織体制に変われない。

若い人たちが上にいくのでもなく、古い人たちがいつまでも同じ場所で睨みをきかせているようでは、なおさら新しい意見なども出て来ることもない。
そして若い人たちも文句は言っても、自分たちも旧い体制で出来上がった組織であることに気づいていないから結局は同じところで改革と言っているだけで別に改革しているわけでもなく、批判をしているだけという構図になっている場合が多い。

厳しい言い方だけれど愛を持って語るなら、そこまでもし本気だというなら、地位や名誉などは受け取ってはいけないと思う。もしも受け取るならば、それなりに受け取っても気にならないほどの自らの人徳人格を磨くことが先だとも私は思う。

そう考えると、組織に於いて変革期に地位や名誉というのものは何も意味をなすこともないしむしろそれは邪魔なだけだ。

組織に依存して、組織が自分を大きく見せるからと本来あるべき努力を怠れば自分自身が新しく生まれてくるものたちの壁になり、今まで保守してきたあの正義も歪められ全体が衰退してくのは歴史を学べばすぐに理解できる。

子ども達のことを考えると、いつまでも古いやり方やその文化を頑なに守ることに力を入れるのではなく、もっと新しいものを柔軟に取り入れ自分自身が変われないなら、変われている人たちのことを邪魔せずに見守り、思い切って権限を移譲していくことがこれからの組織運営には必要だと思う。

若い人たちや子ども達がやりたいと思うものをどう支援し、援助し見守るかが本当の上位の人たちの卓越した能力が問われるところであり、本来そこが上達した人たちの持つ品格だとも感じる。

周囲の取り巻きも含め、もし自分が今在るのが本当にその人の御蔭で本気で恩を感じているならもっとその人自身の人格が光るような実践ができるように真摯に諫言を持って関わっていくことだとも思う。

私自身も大いなる思いやりを以って、この時代の変革期に相対していきたい。
それが今までの報恩奉公とし、自らがまず信念を貫いていきたい。