リーダーリテラシー

何かの出来事を感じるとき、何をもっとも優先するかということをその瞬間のタイミングを逸さずに決断できるかどうかというのがリーダーの資質の重要な部分である。

これは、周囲の情報の中から何がもっとも正しいのかを自らの経験や体験、いやそれだけではなく叡智のようなものを働かせ直観が降りてくるような世界を体得しているということによる。

以前、私はある売上5000億円、社員数が数千人を束ねる会社の経営者の秘書のようなものを1年間務めたことがある。その際、大事な物事を判断するとき情報を集約して決断をするのだけれどそれが通常の人が見ている視野内での判断ではなくまるで遠いところから引き出してくるように大局観を使って行っていることを体験することがあった。

こういうものは大変な体験を通じて、一つ一つ失敗を覚悟で取り組んだ本気の経験を積んできた人だけが持つものであるものでその人が生まれながらにただ感性が鋭いからだけでやっているのではない。

よく直観が働く人と働かない人というのがあり、直観が働かない人はそういうものを運や博打や透視能力のように勘違いしているけれど、そういうものは本気の経験であることの方がほとんど大をなしている。

どのような本気の経験を積み上みあげ、その集大成がこの今の瞬間を正確に捉える感性に繋がっているのである。

もちろん法則のようなものもあり、自分よりも守りたいことがあるや、皆が善くなるようになど、まず「心から」でなければそういうものを捉えることはできない。

情報リテラシーとは、そういうものを含めて正しい情報を取捨選択できることが大切になるのだ。

例えば、国家や政府、企業など、大きな組織を持つものは正しい情報を彎曲して人々へ伝えてくるものもある。宣伝にはじまり、隠蔽や操作など、昔からこれはあったもので今だけの話ではない。昔の流言のやり方が、今ではインターネットを使ってチェーンメールで人々と扇動したり誘導したりするようなツールも増えた。SNSやフェースブックなどもそういう情報操作をするためのツールとして活かしているし、これからまだまだそれは広がっていくものだ。

しかし、そういう情報があってもそれが真実かそうでないかとなると当然それを見極める力が自分に備わっている必要がある。

表面上の情報を見ても、それは知らないことなのだから普通は信じてしまうものが普通である。しかし、これを鵜呑みにせずそれが真実かどうかを確かめる方法を身に着けたり先ほどの直観で見極めることができてはじめて本質的な情報リテラシーを身に着けたともいえるもの。

本気で心を遣い、そして本気で頭を使い、本気で観察するということの本気の経験の積み上げこそがそういう力を磨いていくものだ。だからこそ仕事の一つを行う場合でも、そういう自己練磨の道場だと思ってただ通過するのではなく真摯に丁寧に丹誠を籠めて本気で取り組むものと、そうではない安易に通過するようないい加減な人とでは長い年月で雲泥の差が開いていくのだ。

将来どうしたいか、どうなっていたいのか、または最終的にどうあるのかということを考え抜いた人は心に迷いがない。そういう人が、情報リテラシーを持ち人々と正しい方へと導いていくリーダーになっていくのであろうとも思う。

常に、リーダーリテラシーを身に着けていくことは大切なこと。子ども達には、情報が氾濫する今の時代だからこそ大切な叡智の存在を積み上げる努力の重要性とともに行動できるように示していこうと思う。