リーダーの素質とは

天災や事故があると、今の時代はその国の理念がどういうもので何を優先しているかというのはよく分かる。

昨日、大型の台風が関東を通り抜けたためカグヤではクルーは午後にはすぐに業務を停止しみんな帰宅をした。

私も帰宅してテレビをつけてみると、ほとんどの企業がまだ業務を続けており駅は停止した電車で人が溢れ、無事に会社に戻ることもできないほとであった。

もしも働いている母親であれば、保育園には迎えにいけないし、大家族を養う父親であれば家族が気になるだろうし、幼い子ども達なら不安になるだろうと思う。自然の猛威や脅威を体験した私たちがそんな中で業務に支障がないようにとあるけれど、ほとんど支障をきたしているといってもいい。

また職業として救助などをしているところは仕方がないとしても、そんな天災の中でもよくやったと評価する企業まであるというのは、一体何を優先しているのかと思ってしまう。

先日の震災でも大地震後も通常通り働きそのまま仕事をしていた人たちが多く、結局、帰宅できずに人で溢れかえり全てがストップする悍ましい光景をみたからこそ、本当にこの国はおかしな国だと呆れたのを思い出している。

経済を優先する社会では、お金というものが最も重んじられ人命というものが軽んじられているようにも思う。

人はその理念を観て、その人物が何を優先するのかというのを判断基準に持っている。特にそれは有事にこそ出てくるものであり、それは会社ではどういうもの、家庭ではどういうもの、友人とではどういうもの、または逆境ではどうするか、選択基準はどうかなど、ヒトモノなどでも優先順位の決断にその理念が顕われているのである。

そして常日頃、何を大事にしているかというのはその人の人生観によるものでもある。

だからこそ私たちはどんな人物がその国のリーダーになるのか、その組織のリーダーになるのか、常にどのリーダーについていくかはそれを決める国民や組織人たちの一人一人の決断になるのであろうとも思う。

なぜ選挙が大切なのか、自分たちの大切な家族や自らの命を預けるリーダーを選ぶ必要があるからである。

今の時代は、そういうことをせずトップの理念を確認せずにただ勤め先として働いたり、ただその国民だからと流されるままに所属する人たちが増えている。そこから何かがあれば皆が責任転嫁するといった、非常に集団的無責任が起こりやすい状態になっているといってもいい。

しかしリーダーに命を預けても大丈夫かということはよくよく納得していないと安心して働けない、そして有事や事故、災害の時はそれが命取りになってしまうこともあるのである。

そして何かをリーダーのせいにするのもおかしな話で、そういうリーダーを育成しているのもまた自分自身なのである。だからこそ日頃の自分自身の取り組みこそが、真のリーダーを育成することになる。

その真のリーダーとは何か、それは自分自身こそなのであると私は思う。

孔子がドラッガーの遺した学問でリーダー道というもので学ぶのは、人間の自らの在り方そのものが真のリーダーを育成し、そして真のリーダーとは何かを自問できるものだからでもある。

常に日々は実践道場、リーダーの道もまた一朝一夕にはいかないからこそ学びの本質は日々の出来事を深く掘り下げ、道の真理を掴みとることにある。

真のリーダーとは何か、これからも深く丁寧に緊張感を持って内省を積み上げていきたい。