自然治癒の本質

自然治癒について深めてみる機会がありました。

もともと自然治癒というものは、自分の中から治っていくという感覚で病気が平癒していくことを言います。これは、薬が身体を治すのではなく身体が自分を治すことを薬が支援するというようにもともとは自分の身体の方からの免疫によって自助し回復するということです。

一般的には、身体が苦しい時や辛い時は、頭で考えると治っているようには感じないものです。なので苦しい時や辛い時は、外発的に治療しようと薬や対処療法を試したくなるものです。

しかし本来の自然治癒が働くときは、実際は苦しい時や辛い時、痛い時、シンドイ時にこそ働いていると実感するのです。これは、内発的に自分の内部から外部へと排出しようとしたり自分の力を使って怪我や病に打ち克とうとしている証でもあるからです。

つまりは感情というものは起きている出来事に対して働くのに対し、心身は自然に合わせて働いているということです。これは、心臓や脈、呼吸、体温など自然に身体を順応していくのに対して、感情はその出来事からその身体を順応させているのです。

言い換えれば、身体をコントロールする機関に情と心がありそれが交互に交代しながらバランスを取り一つの生身の身体を操作しているともいうのです。不思議な事実ですが、この調和と不調和とはこの情と心との協働により左右されているのです。

そして自然治癒とは、本来、心身の大調和によって成り立っているものです。

この心身の大調和とは、情と心が互いに協力して自然の場所を観出しその場所に止まることで平癒安心の境地に辿りつくことのように思います。これは例えれば、身体が求める治癒に対して感情もそこに合わせてあげること。そして感情が求める治癒に対して身体もそこに合わせてあげることに似ています。

統合医療の本質とは、きっと以上のようなもので情と心の協働をどのように融和していくかにその技術の鍵があるように思います。

苦しいから楽を選ぶのではなく、苦しいからこそ楽しい方を選んでいく生き方。辛く悲しいからこそ無難を選ぶのではなく、辛く悲しいからこそ有難を選んで感謝すること。こういうひとつひとつの出来事に対して内外の学びがあり、その学びを自分の体験に昇華することで人は成長という掛け替えのないものを得ているのです。

転じるということは、この大調和に換えたということに他なりません。
そしてこれが自然治癒の本質です。

外側と内側のバランスを保つために、常に人間は大調和のために努力精進していかなければなりません。それが生きる死ぬを知る者、つまりは大往生する人間の業だからです。

出来事に感謝、病気に感謝、偏りに感謝できるよう、バランスが崩れているところの声を聴き、受け容れ治癒に換えて学問がある歓びに大感謝していきたいと思います。