強く逞しく~情熱人~

何かの物事を観照するとき、そこにどれだけの強い思いを持っているかというのは何よりも大切であろうと思います。

これはどの体験でもそうですが、事が為るのと為らないのにその結果を見つめるといつもそこに「思いの差」というものがあるのに気づきます。同じことをしても、いつもその結果が異なるのはその人の思いの強さに影響されているのです。

今、学んでいる流鏑馬にしても的を射た板に射手の思いが宿るといわれて縁起物とされています。つまり昔から私たちは「思い」というものを何よりも大事にしてきたのであり、その思いがどうであるかということにこだわってきたのです。

目には観えませんがその「思いの醸成」というものをどれだけ怠らずに行うかで自ずから成果が異なっていくように思います。そしてその思いの醸成とは、情熱によって行うものであろうと私は思います。

現在、誰もが知っている有名な経営者に稲盛和夫さんがいます。今では著書の写真などで拝見すると穏やかな顔つきで泰然自若のようですが情熱という意味ではモデルになる方ではないかと思います。昔、若い時に自らを鼓舞し啓蒙するときによくその言葉に励まされたのを覚えています。

いくつか紹介すると

「強い思い、情熱とは、寝ても覚めても、24時間、そのことを考えている状態。自分自身の成功への情熱と呼べるほどの強い思いが、成功への鍵。」

寝ても覚めても遣るんだという強い思い、その時こそが情熱の炎は燃え盛っているということでしょう。濡れた炭にならないように水をなんど浴びせられても何度でも何度でも自分から燃えて火が消えないように起き上がることでその火を燃やし続けるのは「強い思い」です。

「成功する人と、そうでない人の差は紙一重だ。成功しない人に熱意がないわけではない。違いは、粘り強さと忍耐力だ。失敗する人は、壁に行き当たったときに、体裁のいい口実を見つけて努力をやめてしまう。」

そして続けて、粘り強さと忍耐力とありますがこれはピンチをチャンスととらえるか。情熱はあってもそこで止まっていないか、努力を燃やしたか。この時の努力というものは、最善を尽くすために最期まで諦めずに実践を続けているかということでしょう。忍耐力というものは、逆境こそが自らを磨くチャンスだと創意工夫と改善のチャレンジを続けたかどうかということです。

そしてこの言葉が何よりも印象的です。

「どんな仕事でも喜んで引き受けてください。やりたくない仕事も、意に沿わない仕事も、
あなたを磨き強くする力を秘めているからです。」

まさにこの言葉の中に「情熱の本質」が入っているように思います。

来たものを選ばない、そしてすべてを受け止めて受け入れて引き受ける。稲盛和夫さんは西郷隆盛の「敬天愛人」が座右なのでしょうが、見事にその生き方を貫かれていらっしゃるように思います。

情熱というものは、丸ごと引き受ける強さがあるように思います。それが思いがそうさせてくださるのだから、喜んで取り組ませていただきますという素直な姿勢を産むのでしょう。

情熱とは、燃焼のことですが完全燃焼していきたいと願うのが人生を面白く楽しみたいという願いでしょう。本当にそのように生きているか、本当に情熱をもって日々を過ごしているか、この自問自答は常に一緒に継続することで得られるように思います。

遣りきるということは、遣りきらせていただいた感謝の中です。
情熱こそが生命力ですから、その学びを味わって歩みを強く逞しくしていきたいと思います。