土着の民

古来より文化には「土着」というものがあります。この土着とは、その土地で生まれたもの、その土の中から出て来たものという意味です。この土着というものは自然発生的に風土が顕現した存在のものです。そして土着の文化とは、その土地にずっと根づいた存在があったということです。

先住民や未開拓の土地には、土着というものがあります。長い年月、ずっと自然に任せて自然と暮らした人々の持つ風習も残っています。それを外からやってきた人たちが入ることでその土地は開拓されたとされそれまでの土着が消えていきます。

この土というものは、その土の固有の魂が残存します。土には根を掴む効果があり、根は土の掴む性質を知ることでその土地に根をはります。この土が掴むものは単なる根だけではなく、その土地の文化をも掴んでいるとも言えます。多様性というものは、この自然界の中にある土着のことでありその土が化けた存在がどのように折り合い折り重なることでどのような文化が出来上がったかということにもなります。

日本という国はそういう意味では土地に多様性があります。つまりこの多様な姿そのものは自然があらゆる顔を持っていてその顔に合わせて土地が出ているとも言えます。そのバラエティの数々こそが日本の土着の現れであり、土着こそが多様であることを証明しているとも言えるのです。

日本の文化というのは決して一つではなく、その土着の文化の数々の集積によって仕上がっています。それが為し得たのは、それぞれの違いを認めるといった思想が根底にあったからです。

そしてこれこそが日本の土着の文化ではないかと私は思います。

自然すべてを八百万の神々とし畏敬の念をもって精霊などと話をしてきた民族、まさにその生き方の中に文化もいきづいています。日本らしさは、全国あちこちを旅する中で感じる土着の民の暮らしの魅力に感じます。

今日から北海道ですが、二風谷の場を感じて土着の魅力を味わいたいと思います。