個性を伸ばし、魅力を活かす

人間には誰にしろ欠点というものがあります。言い換えればこれは個性があるということで、その人にしかできないことが外に顕れているということです。

私たちの会社は個性が強い人たちがたくさんいます。みんな最初は今の日本の社会教育の中で揉まれてきていますから自分らしくいることを隠そうとしますが、安心してオープンな風土が醸成されている中に入ると自ずから自分の個性や特性が引き出されていきます。するといろいろな事件が発生してくるものです。

例えば、価値観の相違からくるトラブルであったり、一般的にはないような出来事を突然やったり、ちょっと変人だと思われるような言動があったりと、世間常識から少しずつ逸脱していくのです。

言い換えれば、最初はその人の欠点や短所が次第に出てきます。気になるところが増えていくのはその人の個性が出てくるからです。最初は気になるのは自分が変わらなければならないからで見方の転換時期が近づいてくるからです。そしてその人の持っている美点も同時に引き出されてきてその人のことが丸ごと理解できてくるのです。その時、その人の本当の魅力に出会えます。その人を単体で観て、その人を矯正しようと考えるのならばその欠点はない方がいいように思います。しかしそれをしてしまうと、その人は欠点が消えてきますが同時に美点も消えていきます。

美点も欠点も消えた人には個性がなくなってきます。個性がなくなってくればその人の魅力もなくなってきます。人間は欠点があるから助け合うことができるのであり、美点があるから尊敬し合うことができます。

本来、個人主義で個だけを完璧に仕上げていくという発想は一人で生きていくときのやり方です。しかし協働で協力し合っていくといった共同の中でみんなで生きていくときのやり方は個を完璧にするのではなく、個は完全であるという発想になっていきます。

つまりはその人のままでいい、あるがままのその人を活かすという考え方になっているのです。個がバラバラになって個だけが天才がいても、その天才を活かせる周りの人たちがいなければその才は活かせません。

しかしみんなで力を合わせて才を活かしあえばそれはみんなが天才になったと同じ意味になります。これを協力天才ともいい、集合天才とも言っていいかもしれません。衆知を活かすという考え方は、皆で協力すれば欠点は美点に、短所は長所になるということです。

そのためには、リーダーをはじめ仲間たちがないものを探すのではなく「あるものを活かそう」という哲学を身に着ける必要があります。同時に、自分自身に対してもないものを補おうという発想ではなく、「あるものを伸ばしていこう」という積極的で前向きな生き方への転換がいります。それは利他に生き周囲を活かす生き方に変わるということも意味します。

いつの時代も、物語もロマンも豊かな人生もそれはすべて道と友、仲間との暮らしによって得られます。何を大切にして生きていくか、、、その問は出会いの邂逅や天命の成就によって答えが出てくるものです。

引き続き、子どもたちの憧れる生き方ができるように理念を優先して精進していきたいと思います。