今を磨く

古民家甦生の御蔭で、リメイクすることや一新すること、革新することの本質を学び直しています。道具や建物も、その時代時代に合わせて変化していきます。かつてのものが今の時代にも合うようにするには常に環境に合わせてどのように活かすかと考えていく必要があります。

もったいないと感じる心は、この用い方、磨き方、そして活かし方にかかっているからです。

例えば、昔の道具を見立てるとき、それを今ならどのように見立てられるかと考えます。また昔の道具を仕立てるとき、今ならどのように仕立てられるかを考えます。さらには、どうやれば今の暮らしの中でそれを活かせるかを考えます。こうしていくうちに修繕する価値、一新し革新していく価値、イノベーションの本質が理解できるようになってくるのです。

もともとよく考えてみればわかりますが、数百年前から地球や自然の本質は変わることはありません。植物や昆虫たちは環境の変化はあっても、人間のように知識を蓄えてそれを独自に発展させていくようなものではありませんから同じことを繰り返していきます。

しかし同じことを繰り返す中で、その環境下に「あるものとないもの」が発生してきます。それを何で代替えするか、それを一つ一つ代替えしていく中に進化が生まれます。私たちもまた同様に代替えというのを行います。これはものに限らず、いのちを含め、必ず死を迎え新陳代謝し肉体もまた代替えをします。生き物は、自然に適応していくためにこのように代替えをすることで、その時代時代に合った革新を行っていくのです。

ここに大切な気づきがあります。

代替えとはリセットするということではないということです。英語でいえばどちらかといえばリメイクするという方がしっくりきます。日本語でいえば改善を続けていくという言い方になるのでしょうか。私の言葉だと甦生です。

決して過去が変化できなくてダメだったのではなく、その過去に向き合い今を改善し新しくし、次の時代に譲っていくということです。これが人間が何よりも大切にしなければならないことのように思います。

日々に新たに、日々に新たなりということでしょう。

時間という刷り込みにもっていかれると、過去とか未来とか困惑しますがこの甦生とは今をよりよく生き切るということではじめて磨かれるように私は思います。

引き続き、今を磨きつつ新たな境地に入っていきたいと思います。