心の味

どんなことでも長続きしなければそこで終わってしまいます。この長続きするためにという発想はとても自然なことで、短期集中は確かに遣り甲斐も遣った感じもありますが一時的に結果が出ただけで本来の成果とは異なります。

それに人はわかりやすいものが好きですから、お金にしても結果にしてもすぐに目に見える形が出て信じるものです。その短い期間に出した結果は、それが長続きしないものであればそれは失敗ではないかと私は思います。

なぜなら物事はプロセスこそが本当の結果であり、プロセスの積み重ねの中にしか本物の成果が出てこないからです。

では長続きさせるコツは何か、これは掃除道の実践者の鍵山秀三郎氏はこう言います。

「成功のコツは2つ。それは「コツコツ」。」と。

コツで終わりではなく、さらにコツコツと続けていくこと。一日も休まずに続けることこそがコツコツの意味であろうと思います。私のこのブログもそうですが他にも日々の日課がありますが、決して一日も欠かしたことも忘れたこともありません。先延ばしもせず後に戻ることもなく、ただ今コツコツを維持するのです。

鍵山氏はこうもいいます。

「継続するためには、たえず工夫改善して進歩させることです。そのうえで、コツコツ努力することです。少しでも進歩すれば、楽しくなります。楽しくなると、続けたくなります。」

ただコツコツやっていてもマンネリ化してつまらなくなっていきます。如何に日々の自分の心の変化や成長と対話しつつ工夫改善をしていけばそれが進歩になります。進んでいる実感はとても楽しく豊かです。コツコツのさらにコツは、自分自身が学んで高まっていく実感、学問が深まりわからないことがわかるようになってきた実感、観えないものが観えてきては御蔭様に感謝できるような実感ではないかと私は思います。

そのように日々の感動を感じる力があればいいのですが、すぐに人は心を使おうとはせずに頭で考えて処理しようとします。鍵山氏も、「感動する人は疲れを知らない」といういい方をしますが私も同感です。

身体は疲れますが、心が疲れませんからまた一晩寝れば翌日にはエネルギーが充填されているのです。しかしどのようにして、長続きすればいいか。その最初の難関はあまり急いで成果を期待しないことのようにも私は思います。古語にも、焦らずにしかし休まずにという言葉もあるようにコツコツを止めなければいいのです。鍵山氏はこう言います。

「何にも成果を得られないことをやるぐらい、たいへんなことはありません。しかし、そこにこそ喜びが生まれてくるのです。」

やってもやってもいつになったらと感じる時があります。それでもコツコツ続けることは、根気が必要です。時折、大変だとその苦労に打ちひしがれそうなこともあります。しかしこの見返りもなく、期待もなく、なんの得にもならないと思う中に一種の妙味が隠れているように感じるのです。

それが心の味です。

心の味を知っている人は、長続きする価値を知っている人です。そういう実践者の周りには、豊かさや仕合せがあふれています。

引き続き、子どもたちのためにも理念の実践の尊さと、それを実現していくための楽しさ、対話の喜び、心の豊かさを伝道伝承していきたいと思います。