豊かさ~感受性を磨く~

人生が豊かな人という人がいます。その人はどんなできごとも感受性豊かに感じ取り、自分と周囲を尊敬して美しいものに日々に感激しています。物質的なものは他人でも作り出せますが、心の中のものは自分にしか創り出すことができません。心の感性を磨いていくことができる人は豊かであり、仕合せな人だといえます。

ではどのように心の感性を磨いていくか、それは人間の持つ豊かさを高めていくということです。どんな小さなことでも素晴らしいと感じる感性、どんなに微細な変化でもすごいじゃないかと驚く感性、どんなご縁であってもそれがとても有難いと感謝を実感している感性、そういうものを日々に味わい感受する力を育てていくということです。言い換えれば無感動人間ではなく、日々感動人間になるということです。

私はかつて営業の仕事をしていたころ、日々に出会う方々の御蔭様でいつも自分と相手の素晴らしいところや美しい心を感じる修行をする機会がありました。毎日、本当に多くのお客様のところに訪問し常に自分が何者か、そしてお客様に何を伝えたいのかと、その時々に合わせて対話をしていました。どんな人でもこの方は本当はきっと美しい心を持っていると尊敬し、この方はきっと素晴らしいことを教えてくださっていると信じて、心をオープンにし、相手を尊重し褒めたたえる訓練をしました。

周りの営業の方からは私がおべっかを使っているとか、褒めすぎて気持ち悪いとか言われましたが、私自身は褒めることは自分が相手を認めるところを磨くことだと信じていましたから相手の善いところ美しいところを探そうと精進していきました。

その御蔭様で、どんな人ともいい出会いに恵まれさらには同時に自分の感性も豊かになっていくような機会をいただいたような気がしています。そしてそれがどんなに苦しい時にでもできるか、つらい時にもできるかと心の感性が高まったように思います。

人間は豊かさの分だけ、その豊かさが周囲に伝達していくように思います。豊かな感性がある人は感動によって自他を動かしていきます。豊かな人は、感性のアンテナがたち、好奇心が発動している状態であり、さらに万物を尊敬する状態になっています。

人間はどんなに物質的な豊かさを持っていても、感性が鈍くなると何も感じません。そしていくら物質的に貧しくても感性が豊かな人はその貧しさを豊かに転換していきます。そうやって人間性が磨かれていけばいくほど、真の豊かさもまた持てるようになるのかもしれません。

何歳になっても感動できるような人物になるというのは、豊かな人間になるということです。豊かな人はその存在だけで周囲を仕合せにしていきます。感受性を磨いていく人生とは、豊かな人生のことです。

引き続き、感受性が鈍ったり感動がなくなったりするようにならないようにどんな物質的なもののあるないにかかわらず、子どもたちに見習い感性を豊かに育てていきたいと思います。