向き合う

人は弱さを受け容れることで本当の強さを手に入れることができるように思います。そのためには弱さと向き合い、弱いことを素直に自覚し、それを直視して改善を続けていくことで強くなっていくものです。

最初から強い人などはなく、みんなはじめは弱さからはじまりそれを向き合い鍛錬することで強くなるように思います。

しかしこの自分の弱さというものを否定して、向き合わなければこんなはずではないと勝手に思い込んだ自分のプライドばかりを高めてしまいいつまでも改善が進みません。自分が弱さから向き合うことを逃げてしまえば、その弱いことはますます悪いことになります。

弱いことが悪いことになり、その悪いことは避けようとすれば自分の弱さと向き合えることができなくなり本当の自分自身のことがいつまでもわからなくなります。

テニスで有名な松岡修造さんの著書に「挫折を愛する」(角川oneテーマ21)があります。あの情熱が溢れ熱血な姿で周りに勇気を与えている松岡さんは実は常に自分の弱さと向き合っているということでその本当の強い姿に共感を持ちました。特に印象深い言葉には、

「自分の弱さときちんと向き合い、自分を変えていこうと行動してきたから、焦り、落ち込み、挫折感、絶望感を乗り越えて、心が強くなったのです。」

自分を変えるためには、自分の弱さと向き合うことからはじまります。その感情は挫折感や絶望感、そういうネガティブな感情ですが変わるためには受け止めようとしたということです。

よく弱いからダメだと思い込めば、弱いことを否定し鞭を打ったり、他の人に弱いことを隠し弱さをさらけ出して人に頼ることができなくなります。本当は自分ではできもしないことを無理をして進めてかえって周りに迷惑をかけることばかりです。自分でできないことを知ることは悪いことではなく、できないからこそ周囲と一緒になってその問題に対処していく必要があります。こうでなければならないと決めつけて弱さを否定すれば、すべて一人で抱え込んでしまうことになるのです。その理由はすべてこの弱さと向き合えないことから起こります。さらに弱さと向き合い松岡さんはこういいます。

「諦めない自分を発見し、「本当の自分は強いんだ」と思えるようになるためには、何かで自分を追い詰めることも必要です。「もし諦めなかったら、どういうことが起きるか」を実際に体験すれば、心は確実に変わっていきます。」

本当の自分を弱いダメな自分と思い込み信じてあげられず、本当の自分と向き合うのが怖くなるのは誰もが同じです。自分がもっとも身近にいる本当の自分のことを信じてあげられず、自分というものへの不信感からいつまでも自分を偽る術ばかりを身に着けて誤魔化していたら大事な場面で本当の自分を裏切ってしまいます。

そうではなく、弱さに向き合って弱さを受け止めて弱いままでもそれと付き合っていこうと弱さを否定せずに受け容れていく努力を続けていたら「諦めない自分がある」ことに気づくといいます。自分のことを誰よりも先に諦めてしまうのではなくその弱さもあるのが自分自身なんだと諦めずに信じ続けていくことが「向き合う」ということです。

完璧でなければならないと完璧人間になってプライドばかりを肥大化するよりも、不完全な人間だからこそ助け合い協力してお互いを信頼する力が備わっていると信じることが自分を諦めないということかもしれません。

弱さと一緒に向き合う中で本当の仲間ができたり同志があったりパートナーができたりと絆ができますから諦めずにじっくりと見守り心を寄り添っていきたいと思います。