常識と非常識

先日、歯科医院にいき治療しましたが一昔前の治療が今では180度逆転するというようなことが起きていました。つまりは過去の歯科医の常識は今では非常識になっているということです。

例えば、一昔前は虫歯は削って神経を取るというような治療が行われていました。今ではなるべく虫歯は削らずに神経も取らないことになっています。理由は、削るとさらに虫歯が進行しやすくなり神経を取ると歯が弱りすぐにダメになるからです。一説には顔も老けやすくなるともいいます。

過去に神経をたくさん抜いた人からすれば、今更という話です。

そしてもう一つ例えれば、一昔前は食べたらすぐに歯を磨くというのは常識でした。今ではすぐに磨くと歯の自然治癒が働かずかえって虫歯になりやすくなるのですぐには歯を磨かない方がいいという指導になっています。あれだけ学校で虫歯予防で教え込んできたことが今では違っていたといってもその告知は今の大人たちにあるわけでもなく今でも信じてそうやって歯磨きを続けている人たちがたくさんいます。

このように一昔前の常識は今では非常識に変わっていくのを見ると、如何にその時代の常識が絶対的に正しいわけではないとわかります。これは学校の教科書もそうですが、あれだけ必死に暗記したものが少し経つと勝手に変更されていきます。歴史などその最たるもので、何かの発見があったり間違いが指摘されると知らずに教科書が変わっています。年号も、名前もその後何の連絡もなく知らずに変わっていたのならテストで必死に暗記させられたあれはいったい何だったのかと疑問に思うのです。

常識というものはいくらでも非常識になるものです。そしてその時代の正解だと信じられていたものはいくらでも間違いになるのです。

これはマネージメントでも同じことが言えます。いつまでも目標管理型の組織が正しいと信じて、一昔前のものをいつまでもやっていますが今の時代はそれでは非常識であることもあります。後でいくら間違っていましたといっても、そんなのはその当時の人たちはわかりませんからそれを信じてやるだけです。

先ほどの歯の神経を抜くではないですが、一度抜いてしまった神経は復活することはありません。取り返しがつかないこともあるからこそ、私たちは医師任せにせずに自分自身で納得するまで深める必要があります。これはマネージメントも同じで、コンサルタント任せになどせず自分たちで何が本質で何が本物なのかを見極める必要があります。

現在のように経済原理や市場原理が優先されている世の中では、歪んだ常識を作り出してそれを売り物にしている人たちもいます。何が本物で何が偽物か、何が自然で何が不自然か、よく見極めて納得して取り組む必要があります。

流行に流されないようにするには、自分自身の主体的な研究や行動が必要です。敢えて疑えとは言いませんが、常識とはすぐに非常識になり、かつての非常識は今の常識になるという事実を理解しておく必要があると思います。

身体のことはむかしから変わらない真実もあります。それは自然治癒といって人間が持っている力を引き出して治癒するということです。不自然な生活や、不自然な環境が様々な病気を生み出しています。何が自然で何が不自然か、そして自然とは何かを本質から見つめ直したいと思います。