養生訓と暮らしフルネス

貝原益軒という人物がいまます。郷里の福岡県出身で幼少期には父の知行地である飯塚市で学問を学んでいてその石碑も残っています。この貝原益軒は、数々の著書を出していますがその有名なものに「養生訓」というものがあります。

この養生訓は、現代にも通じる智慧の宝庫であり私も最近になって知ったのですが暮らしフルネス™ととても共通するものがあります。歳を重ねるたびに心豊かになり、楽しみが増えていく生き方をすることを養生訓でも説いています。そして恩返しに生きることの大切さ、徳を積むことの価値についても言及しておられます。

江戸時代には日本のアリストテレス、東洋のアリストテレスといわれるほどに自然科学や哲学に精通しており、また実践家でした。農業全書の出版などにも支援され、実学を中心に人の生きる道を示された人生だったようにも思います。

特に注目すべきは、「心の養生」のところです。養生とは、暮らし方のことですがどのような心の暮らし方をするのかを貝原益軒は説きます。そこにはこう記されます。

“養生の術は、まず心法をよく慎んで守らなければ行われないものだ。心を静かにして落ちつけ、怒りをおさえて欲を少なくし、いつも楽しんで心配をしない。これが養生の術であって、心を守る道でもある。心法を守らなければ養生の術は行われないものだ。それゆえに、心を養い身体を養う工夫は別なことではなく、一つの術である”

意訳になりますが心を守る道、自分自身の心の状態をいかに暮らしで整わせていくか。その心整う暮らし方こそ大切な方法なのだといいます。それが体そのものを養生する暮らしになっているということ。心と体は暮らし方によって決まるといいます。

“心を平静にして徳を養う 心を平静にし、気をなごやかにし、言葉を少なくして静をたもつことは、徳を養うとともに身体を養うことにもなる。その方法は同じなのである。口数多くお喋べりであること、心が動揺し気が荒くなることは、徳をそこない、身体をそこなう。その害をなす点では同様なのである”

そして心の暮らし方においては、まずその心を穏やかにして徳を積むこと。この徳は、伝統的な暮らし方を通して徳を磨いていくこと、精進することだといいます。この徳を磨くことで、暮らしはさらに洗練され豊かになっていきます。

脳みそばかりを酷使するようなことを抑え、頭でっかちになっていくのは迷いであり気も荒くなり暮らしがととのわなくなると。なので、まず暮らしを整わせることに集中することだといいます。

私は養生訓が現代でも通じるのは、そこに人の暮らし方が記されているからです。どのような暮らしをしていくことは豊かであるのか、そして仕合せであるのか。その暮らし方について語っている本だから普遍的な価値を持っているのです。何が仕合せであるのかを善く見つめ、それは徳を磨くこと、恩に報いること、そのような暮らしを積み重ねていくことなど、暮らしが足るを知り満たされて喜びになるという答えを生きています。

暮らしフルネス™がこれから多くの人々の心の癒しになるように祈り、同郷の先達であった貝原益軒の想いも受け継いでいきたいと思います。