変異と進化

コロナウイルスが次々に変異して感染拡大は広がっています。この変異というものは、言い換えれば進化ともいえます。この仕組みは生命が生存するためには必要な力で、生き残るために変化・進化していくのは自然の仕組みです。

少しこの新型コロナウイルスの変異・進化について深めてみます。

ウイルスは細菌とは違って自力では増殖できません。なのでヒトや動物など他の生物の細胞の中に侵入し自らのコピーを作ることで増殖します。そうやってウイルスの遺伝子が大量にコピーさせていきます。

この時、細胞に入って何度もコピーを繰り返すうちに遺伝情報を受け持つRNAと呼ばれる物質の配列にごく小さなミスが起こします。いわばこのコピーミスが誕生したとき、それを「変異」と呼びます。新型コロナウイルスは平均では2週間に1か所のペースで小さな変異を起こし続けるといわれます。つまりウイルスは常に新しい環境に適応しながら進化していくのでワクチンの効かないものもこの先、さらに出てくることが予想されているのです。

インフルエンザも同様に毎年変異をして現れてきます。過去に感染していても、新たに感染するのはそれだけコピーしながら進化しているからです。何年かに一度は、まったく別のウイルスになってしまいワクチンが効かないものも出てくるのです。

ここから新型コロナウイルスのことを考えてみると、この先にどれだけ人類がこのウイルスとかかわるのが観えてきます。変異し続けながら広がっていくのだから、防ぐ方法は変異のスピードを遅らせ抑え込んで落ち着いてくるまで待つか、もしくは治療薬を開発して感染しても治療できる体制を整えるかしかありません。

変異・進化し続けるのだから一度、感染してもまた別のタイプのウイルスに感染します。その変異・進化に合わせて私たちヒトも変異・進化していくしかありません。

本当は人類が今のように変化・進化してこれたのはウイルスがコピーしてコピーミスをしてくれてきたからという側面もあります。身体の細胞を環境に合わせてブラッシュアップする役割もウイルスが担ってくれていたことがあります。環境や気候の変動でウイルスが出るのも、それは変化に合わせて進化していくためという部分もあるのです。ウイルスはヒトの進化に欠かせませんから全部敵だとして、完全に排除しようとするのはそもそもの存在に対して無理があるように思います。

もしもこのウイルス人為的につくりだしたものでも、時間が経てば自然界のものに回帰していくのが道理です。それまでの間、如何にウイルスと共存するかを私たちは考えさせられることになるように思います。

ウイルスの持つ意味を学び直しつつ、この先の人類のために経験の智慧を伝承していきたいと思います。