カビから学ぶ

最近の長雨で、カビがたくさん繁殖しています。日本という国は、高温多湿の風土ですからカビがいないところなどはありません。現在、わかっている範囲だけでも9万種類のカビがいて室内の空気1m³中には、いつも数個から数千個カビの胞子が浮遊しているといいます。空気中には常に一定の湿度がありますから、カビは常に存在しているということになります。

このカビというのは、酵母やキノコと総称して真菌と呼びます。カビは糸のような菌糸と小さな種のような胞子からできていて菌糸の先端から栄養や水分を吸収して成長し胞子によって増殖していきます。

今でも毎年、新種のカビは発見され続けています。実際には地球上に生息する微生物のうち実に36%がカビの仲間だといいます。もはやカビは、先史時代よりもずっと前、地球誕生の時から一緒に暮らしている家族のような存在でもあるのです。

とはいえ、カビが生えるのはあまり気持ち良いことでもなく健康被害もあるものもありますからバランスが崩れるほどに大量発生されていたら困ってしまいます。早めに対応してカビが生え過ぎないように配慮していくしかありません。

少しカビのことを分類わけされているので書いてみますが、よく見かけるのは黒カビ、赤カビです。これはお風呂などによくいて、私もこれは嫌いなカビで見かけるとよく掃除します。赤カビは酵母菌の一種です。そして白カビがあります。これは食品、パンや野菜などに付着します。いつも空気中に漂っているので付着して増殖するのです。またよくみかんなどに付着しているのが青カビです。食べ物のカビはそのまま廃棄するので掃除がそんなに大変ではありません。他は、木材などに発生している緑カビです。木造住宅では梅雨時期になるとでてきて木材を腐らせてしまうカビですから気を付けなければいけません。古民家甦生をしているので、この緑カビはよくみかけます。

これらの中には、カビ毒といってマイコトキシンという代謝物があります。これはカビの二次代謝生産物でヒトおよび動物に有害な生理作用をもつものもあります。これらのカビ毒を日々に大量に摂取すると様々な病気を引き起こします。なので早めにカビは取り除く必要があります。だからといってカビは完全に敵ではなく有用なものもあります。例えば、みそやしょうゆなどをはじめとする様々な発酵食品もカビが生成します。むかしから高温多湿だった日本はその環境を逆手に取り、最も上手にかびを活用している国になっています。他にも抗生物質や酵素製剤など医療で私たちのいのちを救っているカビも多くあるのです。

カビは私たちの生活の一部ですが、そのカビと如何に上手に付き合っていく暮らしは長年、自然と共生してともに暮らしを営み続けてきた日本人の智慧の塊です。

カビから、本来の在り方、暮らしそのものを学び直していきたいと思います。