繋ぎ結ぶもの

昨日は英彦山の宿坊、守静坊の掃除を仲間たちと一緒に行いました。いつも一期一会で、その時々に色々な人が参加されます。古民家甦生と同じで、必要な時に必要な人が集まり一緒に力を合わせていく。そのことで集まってくる不思議なご縁にいつも感謝しています。

作業としては、江戸時代から残る宿坊の道具の仕分けです。甦生できそうなものは残し、難しいものは御供養をしてお焚き上げします。たくさんの漆器の御椀なども出てきましたが、これは宿坊に来た山伏や信仰の方々をおもてなしていたものです。

しっかりとしたつくりで、どれくらいの人数を何十年、何百年と使われてきたことがわかります。時代を超えて使われ続けてきたものには重みがあり、品があります。漆が取れているものもあり、時には欠けていたものもありましたがそこに物語を感じます。

また随分、むかしの日記や、芳名帳などがありました。和綴じになっておりむかしの和紙と墨で書かれたものでしっかりとしたものでした。他にも木樽や竹籠、お札をつくった焼き印などあらゆる道具が出てきました。ここから想像すると、宿坊の先人たちの暮らしが少し垣間見れます。

特に手にとってそのものに触れると、その時の感触から何か伝わってくるものがあります。むかしの人たちが大切にしてきたものは、その時代時代に生きた人の証でもあります。

私は今、この数百年の宿坊を甦生していますが歴史を消すのではなく繋いでいきます。その繋いでいくというのは、単に残せばいいのではなくその志や想いを受け取り、受け継ぎ、この時代に活かし、未来の種と場を結んでいくのです。時代の価値観に左右され大変な憂き目にあうものたちがあります。しかし、その生き様や生き方は燦然と輝きいつまでも光を放ちます。

その光を放ったものをどう受け取り活かすかは、後を結ぶものたちの創意工夫と遺志の伝承に由るのです。

何をするのではなく、何のためにやるのか。

決してブレずにこれから甦生に向けて、命を傾けていきます。引き続き、皆さまの温かい見守りのお力をよろしくお願いします。