体験の質

人はどのような体験をしてきたかで、その人生の質が変化するものです。また同時にその体験をどの意識でしてきたかでさらにその深みも変化します。そして振り返りがどれだけ濃かったかでその体験の意味付けや価値も変化してきます。

つまり同じ人で同じ体験をしても、その体験の質は全く異なるということです。

問題意識や危機感、そして志が高い人や死生観を持っている人ほどにその体験の質は異なるということです。

求道者という人がいます。

これは一般的には真理や悟りを求めて修行をする人のことをいいます。またこの修行は、宗教のような修行だけでなくその道の一流を目指す人にもいわれる言葉です。

この求道者は、常に体験を磨き上げてさらなる高みや深みへと邁進していきます。勉強するなといっても勉強しますし、四六時中同じことだけを考え続けています。そして体験をしたらその体験から何かを感得するのです。

場数が増えればふれるほどに前回よりも何かを掴んでいく。それはまるでただの暗記ではなく、記憶に刻むような作業です。

改善というものもこれに似ています。前回はこうだったから今回はこうするというように、常によく観察をし、物事の流れや意味からさらに善いご縁を紡いでいくのです。何かに繋がっているから、その人には常に点から線になり、その先の面を捉えていくともいえます。

畢竟、御縁というものは求道者の体験そのものともいえます。

日々は体験をするための大切な機会です。

なぜこの体験をするのか、なぜ今なのか、理由などないと思われることであってもそこに必ず学ぶものがあるのが求道者です。体験の喜びや仕合せはこの世に生きていることの証でもあり、この世で生まれてきたことへの感謝そのものでもあります。

時に大変な体験をすることもあり、心が打ちひしがれてしまうときや歓喜に満ちて涙することもありますがその一つ一つの体験こそ質を磨いてくれる砥石です。

子どもたちに今と未来をつないでいきたいと思います。