学問道楽

昨日、一年ぶりにドイツに一緒に保育視察研修にいった仲間たちと熊本で同窓会を行いました。もうドイツに一緒に行ってから6年が経ちましたがこうやって毎年、欠かさずに歳月を共に噛みしめ、お互いの成長やご縁、その人生の物語や苦労を分かち合えることに感謝を覚えます。

同じ師に学びその後のお互いのことを語り合う、この人生の妙味があってこそ学問道楽の幸福を知るように思います。

江戸時代に伊藤仁斎という人物がいました。京都で私塾「古義堂」を1666年に開き、その門下生は3000人を超えていたといいます。ここに学びに来る人たちは豪商から農民まで幅広く、その徳を慕って集まりました。この私塾は明治末期、1905年まで続きます。

この伊藤仁斎の学問は、人の道についてです。人としての生き方を問い、自ら実践の中で学び改善していくこの学びはたくさんの人たちに人道の在り方を伝道していたように思います。独自を掘り下げて愛が実徳であると真心の実践を説き、自ら人の道を示す生き方を貫いていた仁斎の教えは人々の心を深く導いたように思います。

私も師の御蔭様で学問道楽の妙味を知り、如何に真心を尽くしていくことが人の生きる道であるか、また如何に内省し実践を重ねて自らの徳性を磨いていくか、そういう学問の妙の中にこそ人の生き方があることを教えていただきました。

孔子や孟子はもうずっと以前に亡くなり、他国の人でしたがその道は連綿と受け継がれ歩む方々によって今に伝承されていきます。学問道楽は決して道楽息子などの悪い意味で使われることではなく、この時の道楽は道を歩む道楽のことです。学問は、自学自問でありどんな徳性を天が自分に与えてくださっているのか、そして自然と一体になったとき自分の中にある真心の姿と邂逅できる仕合せに愛を感じることのように思います。

活かされている実感があって共生の歓びもあります。恩師というものは導師であり、この学問道楽に導いてくださった方のことです。そして導師があってこそ同志もまた出会えます。君子の徳を身近に感じられることは、人生において何よりもかけがえのない有難いご縁とご恩をいただいたということかもしれません。

論語に『君子の徳は風である、小人の徳は草である、草は風にあたれば必ずなびく』とあります。こうやって徳になびいていく人たちを見守りながらその人たちの支えになれることにもまた仕合せを感じます。

最後に伊藤仁斎の言葉です。

「勇往向前、一日は一日より新たならんと欲す。」

また同窓会で元気と勇気をいただきました。引き続き、子どもたちの未来のために自分のできることを真心で尽力していきたいと思います。

 

  1. コメント

    「朋有り遠方より来たる、亦た楽しからずや」と言いますが、「求道の同志」がいて、そういった「朋友」とたまに会い、お互いの成長を確認し合えることは、ほんとうに楽しい時間です。こういう人たちとは、不思議と「永い縁」を感じます。そして、離れていても、今ごろあの人もがんばっているのだろうなと思うだけで自分もがんばれるという「その存在で励まし合える関係」があることは、ほんとうに有り難いことです。

  2. コメント

    藤森先生を慕って学んでいる人は今どれだけいるのだろうと思います。そして、それは実践し続けているからこそまた別の人も学び始めているように感じます。きっと伊藤仁斎もそういった人物だったのかなと思います。子どもたちの幸せを願い、今できることを尽くしていきたいと思います。

  3. コメント

    常に変化して已まないという仲間たちとの姿があるからこその、毎年の同窓会の喜びが伝わってくるようです。道を楽しむ、そんな先人たちの積み重ね遺してきたものが今もなお受け継がれ、知らず知らずのうちに自分もその恩恵を受けているのだと思うと、大きな真心の中で生かされていること自体が幸せなことだと感じます。

  4. コメント

    自分自身にとって、今は一家の皆さんが導師であり、誇りです。こんなに強い見守りがいつもあるから、自分に迷う時も思い切る事が出来ます。最近は皆で変わる事が楽しくなってきました。これからもみんなで道楽を味わいたいと思います。

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