意識の磨き直し

先日から心技体のことを書くことがありましたが、その心技体によって顕現するものに意識というものがあります。意識の差というものは、すべての結果やプロセスに顕れてくるものであり意識の低さは問題意識に低さでもありますから自分の磨き方によって差が出てくるものです。

磨き方というのは、どのような意識で磨くかで光り方も変わります。先日、ある左官職人が泥団子を磨き上げ、それがあまりにも美しく、それに自分の名前をつけて名刺の裏に印刷しておられました。これは自分の紹介に、自分の目指している目標の高さを磨くことによって表現しておりここまで自分はやりたいという一つの自己表現でもありました。たかが泥団子、しかしされど泥団子なのです。どんな小さな仕事であってもその人の意識次第でその仕事は大変な価値があるものにもなるのです。そしてどのような意識を持つかは、人間の能力向上や才能開花において重要な価値を秘めています。

日本電産の永守重信氏にこのような言葉があります。

人の総合的な能力は、天才は別として、秀才まで入れてもたかが5倍、普通は2倍しか違わない。ところが、やる気、士気、意識は100倍ぐらいの差がある。だから、少々能力がなくても、意識の高い人間を採ったほうがいいと思っている。世の中には、成績のいい人を採れば、さぞや立派な製品やいい客を開発するだろうと考える。もしそうなら、日本電産などとっくに大企業につぶされているはずだ。」

そして永守氏は、意識を変えることで人を育てるとし経営をそこに集中させて人や会社を変革させておられます。

この意識を変えるというのはどういうことか、それははっきりと自分は何をしたいかと目的を定めて目標を明確にすることです。それにより分かれてしまっている潜在意識と顕在意識という意識と無意識の力が合一します。そしてそのためにもっとも必要なのは覚悟を決めることです。

意識が高いか低いかの差、言い換えるのなら当事者意識があるかないかの差はすべてはこの覚悟が決めます。こうなればいいだろうとか、うまくいけばとか、漠然としたままで何かに取り組んでいても意識が変わることはありません。

まず意識を変えるのが先で、どんな時もまず先に何のためにやるのかを突き詰めたあと「自分はどうしたい?」と自分に確認し、その目的に対して覚悟を決め行動をコミットすることで意識を育てるのです。

意識が育つのと同時に、成果も育っていきます。覚悟を決めて目的を定めた30年と、いつまでも漠然としたままで過ごしてしまう30年ではどのような成果になるかはすぐにわかります。

そういう意味で日々は、意識を磨くための大切な一日ですから覚悟を決めて日々の仕事に如何に邁進するかはその人の一生を決めるだけでなく、その人の周囲への影響も決めてしまいます。

環境に左右されない力は、この意識の醸成にこそあります。

引き続き、意識を高め意識を育て、意識の磨き直しを続けていきたいと思います。

  1. コメント

    「高い意識」とは、「秘めたる熱意」と言ってもいいでしょう。そして、その差がわかるのが、「思うようにことが運ばない時」です。その時に安易に妥協するか、それとも、もう一歩を進めるか?!結局は、「その意識の高さ通りのもの」しか仕上がってきません。「心に何を秘めて日々生きているか?!」という意識はごまかせず、生き方にそのまま現れていることを自覚しておきたいと思います。

  2. コメント

    石切職人の話がありますが、日々の生活のために行っている職人も、周りの職人の働きぶりや仕事によって、人の意識は変わるのだと思います。それは自分に置き換えてみるとそうですが、一人でずっと仕事をしていたら意識は変わらないかもしれませんが、刺激を受け自分に何かできることはないかと思うこと、それが些細なことでも積み重ねたら大きな変化になるのだと感じます。最初から意識が高い人もいますが、徐々に高まっていくこともあるのだと、その時の瞬間だけでなく長く見ていくということも大事にしていきたいと思います。

  3. コメント

    意識が磨かれていく組織とはと思うと、昨日のお客様とのヒアリングを思い出しました。一円対話やチーム保育がまさにそれに当たるのだ、一円対話は自分達の園では欠かせない大事な実践なんです、定期的に入れ替わる派遣の先生にいつも、一円対話のことを褒められ、感動されるんです。と教えて頂きました。また、マンネリ化しないのは、深い気付きを話してくれる人がいて皆が感動するんですと話してくださいました。感動する心を保つことにもまた深めて行きたいと思います。

  4. コメント

    書籍「世界が称賛する日本の教育」の前半に、小田島裕一さんのエピソードが掲載されていました。野球の監督としてウガンダ共和国の高校生の人格を高めていった話ですが、そこで紹介されていたのが森信三先生の「時を守り、場を清め、礼を正す」という言葉でした。ウガンダの高校生たちの人格が高まるにつれて野球の技術も高まり、自国に生まれたことを感謝し、ウガンダの発展の為にと志を高めていく姿に、大事ものを思い出させてもらいました。強い意志を持っていきたいと思います。

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