安心して育つ環境

人間には表情というものがあります。これは、心の状態を顕しているものでその人の心が表に出てきている状態とも言えます。心が澱んでいれば表情も暗くなり、心が澄んでいれば表情もまた清らかです。心を頑なに隠していれば表情もまたそれ相応になり、心が楽しければ笑顔で明るい表情になります。

心がどのように働いているか、それを観察することがもっとも心の状態に気づく鍵でもあります。そして心は本来は、子ども心というように純粋無垢なままの状態で存在し続けます。しかしその心が日々の知識や刷り込みによって頭で考えることが増えていくことによって心の周りに垢のようなものがこびりついてきます。

その垢を洗い流していかないかぎり、心が表に出てくることがありません。大人になればなるほどにその垢がこびりついてきますからそれに気を付けて生きていくことが仕合せに近づくコツのように思います。

この垢はではどのようについてくるか、それは自分に嘘をつくことでこびりつきます。自分の本心を隠し、周囲にわからないようにするために嘘をつき誤魔化すこと、本当の自分の素をさらけ出さずに周囲に合わせて自分を偽り表現していく、そういうことを繰り返すことによって垢は出てきます。つまりは不自然な姿で居続けたことで、その不自然さが自然を覆い隠していくかのようにです。

そうならないようにしていくために、どのような環境を用意していけばいいか。みんなが無理をしないで安心して素のままでいられるためにはどうすればいいか。教育者はまずそこに目を向けて、安心して育つ環境を用意していく必要があると私は思うのです。

安心して育つ環境は自分自身にも言えることです。自分のままでいい、あるがままいいと自分が思っているかどうか。無理をして我慢をしていないか、周りの期待に応えるために本当の自分を隠していないか。自問自答する必要があります。

そして自分を肯定できているか、自分を好きでいるか、自分というものの存在を丸ごと認めているかといった揺るがない自信を持つ必要があります。

引き続き子どもたちが安心して成長していけ自分の持ち味を発揮していけ仕合せな人生が歩めるように安心して育つ環境を用意していきたいと思います。

  1. コメント

    表情には、「明るい、暗い」という違いもありますが、「やわらかい、かたい」という違いもあります。「かたい表情」をしているときは、緊張状態が続いていて居心地が悪いのかもしれません。ほんとうの「安心」とは、緊張したり、構えたりすることなく、無防備でいられるということでもあるでしょう。「表情から風土を知る」という視点も持っておきたいと思います。

  2. コメント

    自己抑制や感情コントロールという話をよく聞きますが、子どもの頃だけに身につくものではなく、大人になっても学び続けるものなのだと感じます。論語にも「七十而従心所欲不踰矩」とあり、いくつになっても心や身体は常に学び続けなくてはと感じます。

  3. コメント

    笑顔を振りまきながら悪さをする人にはその偽りの表情にうんざりすることもあり、強面で悪そうな人が実はとても優しく人情があることもあり、見かけによらないなと思うこともあります。相手の顔色ではなく自分の心の状態に気をつけると聴福人の心得にありますが、どう見えるかは自分の信じる心次第として自己を整えていきたいと思います。

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