長期的な視点

物事はなんでも時間をかけて現出してくるものです。今の社会は、何十年も前に積み重ねてきたことが現れたもので今突然出たのではありません。それは教育でもそうですし、生き方も同じです。

人間は死んだときにその人の生前のことが現出してきます。その人物が偉大であればあるほどに時間を経てその真価が現出します。歴史の偉人も、素晴らしい文化も、それは時間をかけて醸成されてきたものです。

現在は、すぐに評価を求めるあまり長い時間をかけて取り組むことは価値がないと思われていることもあります。経営が上手いという言葉一つであっても、目の前のことに対処して短期的に効果があることにばかりに費用対効果が上手な人をいうようになり、本当の意味で長期的に効果があることのために徳を積んでいくことを経営が下手だと言われたりします。

もちろん短期も長期も両方大事ですが、本来は長期的なものがあって短期的なものを処理していくのであって短期的なもののために長期的なものを捨てているようでは時間の経過とともに現出してくる問題に追われ続けていくように思います。

自分の代では叶わないことであっても、それを子孫のために取り組んでいくという長期的な取り組みや実践は必ず未来において徳が現出してきます。私たちの今の世の中を見渡してみたら、あまりにも目先の損得を優先するあまり環境問題や道徳荒廃、生活習慣病や精神疾患などかつて先人を含め自分たちがやってきたことが今に現出しています。

それに気づいたなら、将来のことを省みて今、長期的な視点でこれらの社會問題や人類の課題に対してそれぞれが取り組んでいくしかありません。そして何十年後の子孫たちが、その恩恵を受けて今の世の中がよくなってきたのを実感し、先人たちの実践を尊び継承して安心して平和を永続させていくことができます。

今の世代の責任は、長い目で考えたときにこそはじめて議論ができるように私は思います。今はすぐに自分自分と自分のことばかりを心配して、自分のことばかりを注目し目の前のことに対処していくことが最良かのようにニュースでも巷でも見聞きしますが本来、人類の思想は長期的に醸成され私たちに受け継がれているものですから正しく向き合い、場を育て、場をつくり、場を譲るということを場の思想を磨いて取り組んでいくことが私たち今を与えてくださった先人たちへのご恩返しと責任です。

引き続き、子ども第一義を実践し、何十年、何百年後の子孫たちに善いものを譲れるように、長期的な視点を大切にして徳の日々を積み重ねていきたいと思います。

  1. コメント

    会社の決算は、「一年」だったものが「四半期」になって、ますます長期の手が打てなくなりました。また、さまざまな職の任期も、「2年」くらいでは、なかなか思い切ったことはできません。一方、「頓服」を常用したり、「応急処置」が日常化したしてり、人は、どんどん「待つこと」ができなくなっています。「時間をかけること」や「積み重ねること」ができない背景にある、「仕組み」に巣食う思想に注意したいものです。

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