沢庵漬けの原理

昨年末から杉樽に漬け込んだ「沢庵漬け」が食べ頃になり、とても美しい艶と味で感動しています。現代、お店で売られているものは人工香料などを添加され沢庵風になっていますが、実際に自分で漬け込んだ沢庵漬けは格別ものです。

以前、ぬか漬けをやっていた時機がありますがこのタイプの乳酸発酵は期間も短く細かい手入れや観察が必要になってきます。ぬか床の発酵の原理は、微生物たちのハタラキです。

このぬか床の微生物は、塩分が多い中でも酸素が少なくても元氣に発酵します。しかし言い換えれば、塩分が減り酸素が多いと過発酵が進みあっという間にタンパク質を分解してしまい、アミノ酸や乳酸なども過分に分解します。簡単にいえば、甘さから酸っぱさになります。

また最初の微生物の分解が終わり、今度は温度が上がってしまえば腐敗がはじまり別の微生物たちがハタラキはじめます。

なのでぬか床をはじめ、これらの乳酸発酵の微生物は寒さと酸素管理、水分管理、塩分管理などが絶妙にかみ合う必要があります。言い換えれば、微生物がもっとも喜ぶ環境を用意してあげなければならないのです。

自然の智慧というのは、どのように学ぶかといえば自然をよく観察して自然に自分が合わせていくチカラをつけることです。ある人から私のやっているあらゆることは、まるで大自然に正対して取り組んでいるようだと言われたことがあります。

確かに自然農という生き方も、磨き直し甦生する生き方も、子ども第一義の理念も全部これらの自然観が基本になっています。

漬物をつけることは私にとってはライフワークであり、ライトワークでもあります。保存食ではなく、人類の持続可能食が漬物です。漬物文化は私たちの食文化の根本です。

引き続き、身近な暮らしの実践から子どもたちに譲り遺したい文化を学び直していきたいと思います。

  1. コメント

    「お漬物」というのは、食文化の大きな智慧です。「お漬物風」のものが多く出回るようになって、改めて「お漬物の凄さ」を味わっています。 「人間がお漬物を作る」というよりは、「微生物等に手伝ってもらっている」のでしょう。「人間の都合」というものを外し、自然の流れに沿っていかに共同作業ができるか?!それが「暮らし」の妙味なのかもしれません。

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