ミルクランドの閉店

長年、私たちの社員の食を支えてくださっていたミルクランドさんが4月末で閉店することになりました。創業者の小寺トキさんと出会ってから十数年間、栃木の青空農園で自給した無農薬の野菜や野草を上手に調理された最幸のものを毎日お昼に食べさせていただきました。

安心安全の食の提供といった、信念に裏打ちされた日本でたった一つの店舗であり、未来の日本の子どもたちにとっても必要な場所でした。急なお知らせに、如何に当たり前ではなかったかを、当たり前などないということも再確認し、どれだけ感謝を伝えていただろうかと複雑な思いにもなりました。

しかし、ここからまた前に進み新しい未来がはじまりますから感謝のままに私たちがその志を継いで安心安全の食の提供を発展させていこうと思っています。

思い出してみると、最初にいただいた青空農園で収穫した菜種から油を搾取しそれで採れたての野菜で揚げてくれた天ぷらの味は今でも感動が甦ます。体調がわるいときでしたが、食べるとすぐに元気になりました。食べることのチカラを感じた瞬間です。

そして出張が続き、食が乱れ体調が崩れたときもまた出張帰りに社内で食べた自然の味が心身を癒してくれました。仲間と穏やかな空気のなかで食べる安全のお弁当は人生の歓びを増やし、安心をさらに増幅してくれました。

また日々にミルクランドのスタッフの方々と、付箋紙を使い様々な対話やメニューの感想、味付けなどのことをやり取りするなかで私たちもまた食を考えるきっかけをいただいていました。お土産を交換したり、近況を報告し合ったり、親戚のような関係に心温まる絆をいただきました。

年末の大掃除のあとの仕事納めでは、店長と一緒に深夜まで会社で飲んで振り返りをしてお互いの頑張りを見守り合いました。お酒を飲むとすぐに寝てしまいましたが、大事な話はちゃんと聞いており笑い、楽しい時間の御蔭で新たな年の励みになりました。

最後は、こだわりの強い人たち同志で人間関係でしょっちゅうぶつかりあっていましたから時には相談にのり、またある時はアドバイスや仲裁に入り、持続し合うために協力して乗り越えてきた思い出が残っています。

愛する場所はなくなりましたが、愛する思い出はいつまでも心に続いています。

この愛する思い出をよりよくしていくのは、この先の新しい思い出をさらに発展させてつないでいくことです。あの出会いがあるから、今の出会いがあります。私たちは出会いを積み重ねていくことによって、過去の出会いの意味を完成させていくのです。

心が続いていくように節目を迎えることは、人生の思い出を手入れする機会でもあります。終わっても終わらない関係が、未来を創ります。子どもたちの未来のために、私がその志を受け継ぎたいと思います。

  1. コメント

    いつもこちらのブログを訪問させて頂く度に、心がほっと致します。これからは心ある人々の横の繋がりが大切であると感じます。本当の意味で悪でなく善の繋がりが・・・。

  2. コメント

    「なくなる」と聞いて、今までお世話になった時間が一気に押し寄せ、「ちゃんと感謝できていなかったのではないか」と反省することがよくあります。決して感謝を忘れていた訳ではありません。ただ、「それがどれくらい有難かったか?!」というのは、失うときにしか気づけないのかもしれません。しかし、その気づきは、理念や志を引き継ぐきっかけにもなりますし、「なくなる」のではなく「生まれ変わる」と考えると、新しい転生が楽しみでもあります。改めて、ご縁に感謝いたします。

  3. コメント

    今日久しぶりに伺ったら閉店していて驚きました。ベジタリアン料理で、おかわり自由の本当に贅沢な食堂でした。30年も続いていたのに…。3年前に上京してから、何回かお邪魔しましたが、色々な思い出があります。今まで本当にありがとうございました。

  4. コメント

    子供を妊娠中、昼休みにせっせと通い詰めました。お陰様で健康に育っています。大事な場所が無くなるというのはいつも寂しいものではありますが、思い出までもが無くなるわけではありません。教えて頂いた食に対する知識と思いを、これからの生活の中で活用させて頂きます。長い間、ありがとうございました。

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