心の準備

何事も、ご縁を迎えるためには準備というものが必要です。一つ一つのご縁が結ばれていくなかで、それを点で捉える人、線で捉える人、面で捉える人、そして丸で捉える人が居います。

それは全体を俯瞰する力であったり、物事の意味を深め続ける力であったり、さらには他力を感じる力であったりと、その人の生き方、人生への正対の仕方によって異なるものです。

人は、自分のことしかわかりませんから自分が何かをしていたらみんな同じではないかとも錯覚するものです。たとえば、「ご縁を大切にする」ということば一つであっても、一人一人その質量は異なりますし、定義も異なります。

すべてが深く関わっている存在の中で、ある人はご先祖様からのご縁を感じて懐かしい存在として関わる人、またある人は未来の先に訪れるであろう子孫たちの邂逅を感じて親切をする人、またある人は、今、此処に一期一会を感じていのちのすべてを傾ける人、それによってご縁は無限に変化していきます。

ただ、すべてにおいて大切なのは「心の準備」をするということです。言い換えればそれは「覚悟する」ということでしょう。この覚悟という言葉は「心の準備」をする人が持つ境地であるのは明らかです。

人間は、ご縁が導いているとわかってはいても心に迷いがあればご縁を感じる力衰えていくものです。つまり、心の迷いは心の準備の過不足によって発生しているとも言えます。

その心の準備には、日ごろの準備もいりますが、準備するためにどれだけの徳を積み重ねてきたかというそれまでの生き様も関与していきます。心を整えていくためにも、その準備に丁寧に、そして本気に誠実に取り組む必要があります。その場しのぎの連続では心の迷いは増えていくだけで、心が安着することがありません。

日本古来からのおもてなしの心というのは、この心の準備を実践するということでしょう。

日々にたくさんの方々と新しいご縁が結ばれていきますが、心の準備を味わい充実した日々を前進しています。このご縁をどう転じていくのかは、覚悟次第です。引き続き、子どもたちの未来のためにも今できることから丹誠を籠めて真摯に取り組んでいきたいと思います。

  1. コメント

    「人との折衝」というのは「会う前に勝負がついている」と言われます。すなわち、交渉の席に着くまでにどれだけの準備をしてきたか?!ということです。これは、あらゆるご縁の迎え方にも通じるでしょう。ここでの準備とは「作戦」ではなく、相手を思いやる「心の準備」です。どれだけ心を込めて準備をしたか?!ということです。松下幸之助さんは、来客の前に座布団の位置までを自分で微調整し「場」を整えられたと言います。「準備」とは、見方を変えると、自分の修行人生の総力を結集した過去最高の「おもてなしの場づくり」でもあるでしょう。今回は、掃除ひとつもにも、日々の向き合い方が集大成されることを痛感しました。

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