コロナワクチンの未来

世界ではコロナウイルスのワクチンの接種がはじまっています。改めてワクチンの歴史を振り返ってみると、色々と考えさせられるものがあります。これから日本でもワクチンの接種がはじまりますが、最終的な責任と決断は自分自身になるので事前によく検討しておく必要があります。少しワクチンのことを深めてみます。

このワクチンという言葉の語源は雌牛を意味するラテン語Vaccaからきています。1798年に、イギリス医師ジェンナーが牛痘(ぎゅうとう)ウィルスを人に接種することで天然痘が予防できることを発見したことに由来があります。

そもそもワクチンのはじまりはいつかというのは、あまり分かっていません。一説によれば紀元前200年頃の古代中国や紀元1000年頃のインドだとも言われます。しかしもっともワクチンのはじまりにおいて有力なのは、今から約300年前のメアリー・モンターギュ夫人が、トルコ人が行っていた天然痘の予防を知ったことからはじまります。

トルコではその当時、症状の軽い天然痘から採取した液体を接種していました。かつてこの夫人は若い時に天然痘で死にかけた経験があり子どもが同じように感染することを恐れてトルコ式の予防接種を受けました。それを母国の親類などにも接種していきました。その後、夫人の従医が1724年に英国王立協会に予防接種の科学的説明を提言するとイギリスとフランスで予防接種が採用されるようになりそれがヨーロッパ全土に広がったといいます。

さらにイギリス人医師・エドワード・ジェンナーが、牛痘 ( 牛の天然痘で人には毒性が弱い)にかかった人間は天然痘にかかりにくいこと見つけ、検証をして1796 年、天然痘ワクチン (種痘)を完成させたといいます。

この時ジェンナーが雌牛で実験したことから「ワクチン(vaccine)」という言葉ができたのです。実際にはこの当時、エドワード・ジェンナーはなぜこのような現象が起こるのか理解できていなかったといいます。これは後世の研究者たちによって解明されていきます。

そもそもこのワクチンの効能は、免疫系に働きかけることで外部からの攻撃に対し準備をすることで感染を予防します。言い換えれば、無害や弱毒性のウイルスを先に摂取しそのことにより白血球のB細胞とT細胞が活性化され、記憶細胞をつくります。そうするとこれらの細胞は、人体の中で数十年間は増殖し続けることになります。記憶細胞が働くことで、同じウイルスに遭遇したとき白血球がすぐにそのウイルスを破壊するという仕組みです。

この記憶免疫は一度感染した病原体に再度感染した時に初回よりも迅速に病原体を攻撃します。かつて病原体などの異物を攻撃するために活躍した感染の記憶がある細胞の一部が記憶細胞として身体の中で生き続けることで同じ異物が再び侵入した際に迅速に反応するという仕組みです。人間が一度かかった感染症には二度かからない、もしくは感染症にかかっても軽い症状で済むのはこの記憶免疫を使っています。

人間には、自然免疫といって生まれながらに備わっている免疫。言い換えれば先祖が感染してそれを記憶免疫として残して譲ってくれたもの。また獲得免疫といって自分の身体であとから得る免疫があります。なぜ獲得免疫が必要かといえば、インフルエンザなどのウイルスなども頻繁に突然変異するのでその都度、新しい免疫を獲得する必要があるからです。

今回のコロナウイルスは、インフルエンザに近いものだと言われます。そうなると、変異がたくさん発生する可能性がありますからワクチンが追い付かず獲得免疫によって乗り越える必要があることも予想できます。

ワクチンは副反応というものがあり、いくら無毒化したワクチンでも体内の免疫系に働きかけるものなので完全に「無菌・無毒のワクチン」というものなどは存在しません。それにいくら弱毒性や無害と謳っても本人の体が弱っていたり病気がちな人、高齢者などは弱いウイルスでもそれがかなりの強毒性や有害になることもあります。

人間には寿命もありますから、ワクチンは決して万能の薬ではありません。今回、人類はこのコロナウイルスにはワクチンで対抗しようとしています。簡単に言えば、全人類にこのコロナウイルスを持たせようという感じなのでしょう。

果たしてこの結果がどのようになるのか、経過をみんなで知恵を出し合い見守りたいと思います。いずれにしても免疫とは何なのか、そして健康とは何か、今一度原点に帰って子どもたちの未来のために今を生き切っていきたいと思います。

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