枝垂れ桜の妙

あることから枝垂れ桜のことを深めていたら色々と感じることがありました。もともと桜というのは、600種類以上あるといわれこの枝垂れ桜はその桜の突然変異で誕生したものです。

なぜ枝垂れるのかも仕組みもあまりわかっていないようですが枝が上に向かって伸びるのは枝の先端部でオーキシンという植物ホルモンが伸長成長させジベレリンというホルモンが肥大成長させることで生じます。それが何らかの原因で枝の上側にジベレリンが作用せず、肥大成長できずに枝が重力に抗しきれなくなり枝垂れるということまではわかっています。

この枝垂れ桜は別名をイトザクラ、オオイトザクラと呼ばれています。その歴史はとても古く、今から1200年前の平安時代からあったといわれます。現存する有名なものでは福島県にある「三春滝桜(みはるたきざくら)」です。これは樹齢1000年を超える老木です。

品種を調べてみたら下記のような種類ありました。

八重紅枝垂(ヤエベニシダレ)、紅枝垂(ベニシダレ)、清澄枝垂(キヨスミシダレ)、枝垂彼岸(シダレヒガン)、吉野枝垂(ヨシノシダレ)、菊枝垂(キクシダレ)、雨情枝垂(ウジョウシダレ)、糸枝垂(イトシダレ)です。

今年の春に英彦山の守静坊の前に、美しい枝垂れ桜に出会う機会がありました。

この枝垂れ桜は樹齢約200年、高さ約15m、幅20mあるといいます。その品種は一重白彼岸枝垂桜(ひとえしろひがんしだれざくら)というそうです。これは江戸時代、上京した守静坊の山伏が京都祇園のしだれ桜を英彦山に持ち帰って移植したものだそうです。

神様の依り代として、桜の木を大切に目出てきた日本人の先人たちは枝垂れ桜に何を観たのでしょうか。今でもその当時の美しさは変わることはなく、変わっていく世の中においても神聖で優美なままで存在をひっそりと山で暮らしています。

人はこの枝垂れ桜に優美さに何を思うのか。

これから数年かけてその意味とその価値を深めて鑑照してもらいたいものです。子どもたちのためにも、伝統を守り、古からの真実を伝承していきたいと思います。

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