グローバル意識~資質と実力の本質~

私たち日本人は島国の中にいて国内事情ばかりを優先するあまり、アジア圏をはじめ世界のことを意識することが少なくなっているとも言えます。先日のニュースでも社会課題は国内志向が強く、「紛争鉱物」や「貧困」「人権」など含めたグローバルな課題への関心は低くなっているそうです。

アジア圏に出て各地で活躍している人たちをみていたら如何に国際人として常に全体を観て自分たちがどうあるべきかを考えて行動しているのが分かります。私も高校を卒業してから中国に留学し、その後、英国に留学し、いくつかの国の方々と仕事をし、また今でも関わりがありますが常に世界では共通する問題にそれぞれの人々が様々な異なりを理解し、違いを超えて挑戦しています。

特に今は情報化社会が進み、経済的に密接に繋がり合い、ますます国境がなくなってきていますから世界のある場所で起きた出来事はすぐさま世界全体に影響を与える時代になっています。つまりは私たちは常に地球運命共同体として、私たちは世界の中に生きているということです。

昔のように関わりが薄かった時代はまだ対岸の火事で済んだ出来事も、今ではとても他人事ではなくすぐさま自分たちに多大な影響を与えてきます。世界の未来の問題をどう今解決していくかは、それぞれの人々の意識に懸っているともいえるのです。

そういう意味では日本という国は、世界の中でもとても大切な役割と使命があるように思います。それは老舗に見られるように私たちの伝統は何百年も前から大切に維持され、世界の称賛を受けていることにも見られます。また、瑞々しい国土のほとんどは森林に囲まれ清らかで澄んだ水と、恵まれた気候風土の中で満たされています。もちろん地震や火山も多くありますが、それはまだ産まれたての風土だからこそこのように若い感性に満ちているのでしょう。

先日のシンガポール訪問でも、アジア圏の中でどう私たちがリーダーシップを発揮していかばいいのかを自覚する機会になりました。そして同時に私たちの資質と実力とは一体なんであろうかともう一度、向き合う機会をいただけました。

日本人としての資質とは何か、日本人としての実力とは何か。私はかつての日本古来の心こそ、私はその問題を解決する鍵になると信じています。

最後にシンガポールを考えながら、同じアジア4龍と呼ばれる国家、客家出身の台湾の李登輝首相のことを思い出していました。それぞれにリーダーシップを発揮して、今後の世界でどう国家を運営していけばいいか、歴史はとても未来への参考になります。その李登輝首相が、「世界の偉人たちが贈る 日本賛辞の至言33撰」ごま書房新社の中で日本についてこのように語っている一文があります。

「『進歩』を重視するあまり『伝統』を軽んずるというような二者択一的な生き方は愚の骨頂だと思うです。『伝統』という基礎があるからこそ、初めてその上に素晴らしい『進歩』が積みあげられるのであり、『伝統』なくして真の『進歩』などありえないのです。数千年にわたって営々として積み上げられてきた日本文化の輝かしい歴史と伝統が、60億人余の人類社会全体に対する強力なリーディング・ネーションとしての資質と実力を明確に証明しており、世界の人々からの篤い尊敬と信頼を集めているからです」

古来の心は伝統文化の中に籠っています。温故知新、今こそ日本文化と伝統というものをもう一度学び直しつつ、今後のグローバル人財、地球人財の一人として準備を怠らず実践を高めていきたいと思います。

  1. コメント

    宇宙の二大原理は、「進歩」と「調和」だと言われます。「伝統」には、この進歩と調和を延々と繰り返すなかに確立されてきた不変の真理が含まれています。世界を見渡すと、歴史はあっても、そのほとんどが「侵略と変革」ばかりの国がたくさんあります。その中で、「和の精神」を柱に延々と築かれてきた日本文化とその伝統にこそ、世界を福にする原理があるのではないでしょうか。日本人の実力と日本文化・伝統の本質を学び直したいと思います。

  2. コメント

    ここ半年程、月に一度ですが伝統体験へ行くとその度に日本って凄いなと感じます。先日は知恩院へ行く機会があり、御影堂の修理をする宮大工さんの姿と離れで抹茶を頂きました。そこでは祈りと静けさを体感し、僅かな時間でしたが贅沢なひと時を過ごさせて頂きました。元サッカー日本代表の中田英寿さんも以前から伝統体験をされ、その記事も読んだこともあります。こういった体験を通してどう今後活動を展開していくのか、世界で戦ってきた日本人だから注目してしまいます。

  3. コメント

    他国の伝統文化を滅ぼして侵略していった世界の歴史は、まるで一斉画一でお互いの異なりを尊重しない、認めないという教育を施していった姿にも思えます。国内志向が強いのは、自我に囚われたり自分ばかりを卑下してしまう姿にも観えてきます。子ども達がそもそも異なりを持って生まれ、育ってきた環境も皆同じではないように、国もまた異なるからこそお互いの特性やらしさを活かし合えるのだと思うと、日本という国がもともと持っていた「信念の種」はどのようなものなのか?そこから発芽して育っていった伝統文化にはどのような意味があるのか?それをしっかりと握っておくことがグローバル意識には欠かせないように思います。国も自分も分けずに、個と全体という問題に向き合っていきたいと思います。

  4. コメント

    どこか不思議ですが、「見守る」という理念や考え方は、日本古来、もしかすると地球全体の理念だと信じているところがあります。梅干しをしていても、糠をしていても、家族を持っても、見守るの真理はそこにあると実感しています。調和と引き算、日本が持つそういった文化に触れるたびに、日本人であることを誇りに思うと共に、しらないそういった文化をもっと体験から学び血肉にしていきたいと感じています。

藤堂 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です