御蔭様の本体

御蔭様という言葉があります。

簡単に言えば人はひとりでに生きてきたのではなく、多くの人たちの支えによって生きてこれたということです。ひとりの人間が生きて死ぬまでにどれだけ多くの人たちや神仏の支えがあっているのか、それを思うときに御蔭様を感じるものです。

たとえば、赤ちゃんの頃からお母さんのお腹の中で大切な栄養を分けてもらい、そして産まれてからも母乳をはじめ、大人になるまで食べ物を食べさせてもらって身体はできています。この身体も食べたものでできていますから食べてこれたということは、そこには確かな御蔭様が存在しています。親の存在を思うとき、御蔭様で生きることができる自分がいるのを実感し自然に感謝の気持ちに包まれます。

人はすぐに誰かと比較したり何かと比較して羨んだり嫉妬したりするものですが、実際はみんな誰しも生きているのなら御蔭様をいただいているのです。それを感じる力が下がっているだけで、御蔭様を思えばいつも見守ってくださる有難さに気づくのです。

人生とは全て丸ごと広大無辺の御蔭様で成り立っているものです。平等などという言葉は御蔭様を分からなくしていくだけかもしれません。太陽のように見返りを求めずに分け隔てなく選ばずに光を与えてくれるのが天の助けです。嬉しいなぁ、愉しいなぁと伸び伸びするのもその御蔭様を感じている心があるからです。

今の時代は、歪んだ個人主義が蔓延しお金さえあれば、能力さえあれば一人で生きていけると錯覚してしまいます。一人暮らしといっても実際は誰ひとり、ひとりで暮らしているわけではありません。

その周囲には、それぞれの生業の中でその御力をお借りしてはじめて生活はできているからです。食べ物を食べているのなら、間違いなくその食べ物の御蔭には他力の助けがあるのです。

つい不平不満やないものねだりをしてしまうときは、この御蔭様を忘れているのかもしれません。御蔭様の反対には当たり前があるのかもしれません、権利や義務を主張するとき、その御蔭様を忘れてしまってはいないか、其処に本当の貧しさがあるのです。

心豊かに生きていくというのは、足るを知り、もったいないと思うからこそ御蔭様での真心で感謝を実践していくことのように思います。

人間は常に御蔭様でと感じているときにだけ、有難うございますという心が現れてきます。何かをしてもらっているから有難うではなく、いつも見守って助けてくださっているから有難うなのです。つまり御蔭様でと感謝するとき、人間は助けてもらった御恩を思い出しその御恩に報いたいと心の本体の存在つながっているのかもしれません。

見返りを求めずに助けてくださる偉大な恩徳、その御蔭様ということでしょう。

私たちの心も魂もそして身体まで、地球や宇宙の霊魂を分けていただき存在するといいます。大地から分けてもらった身体、精霊から分けてもらった神体、先祖から分けてもらった心体、そんな大切なものを分けてくださっているからこそ御蔭様で今、生きています。

当たり前ではないことに感謝してはじめて御蔭様の本体を知るのかもしれません。
「ありがとう」の日々に見守られているからこそ「おかげさま」を実践し続けたいと思います。

  1. コメント

    「おかげさまで」という挨拶があります。「皆さんお元気ですか?」「おかげさまで」、「がんばってますね!」「おかげさまで」と「何のおかげか」を特定しないで使いますが、それは、私たちが認識できる「おかげ」以上の「おかげ」によって支えられているということがわかっているからでしょう。感謝し尽くせない感謝を表現する智慧の言葉であり、そこに日本人の豊かさの本質があるのかもしれません。「おかげさまで元気」であり、「おかげさまで今日も働ける」。平凡に見える日常が、この「おかげさま」で満ちていますが、「何のおかげであるか?!」もっとこの認識を深めながら、丁寧にこの言葉を使えるようになりたいと思います。

  2. コメント

    全部が繋がっている実感を持つ機会を頂いています。心持ち次第で愚痴になり、感謝になること。
    大きな見守りに感謝を忘れない為にも日々心を磨いていきたいと思います。

  3. コメント

    昨日一日でいただいた機会も、かけて下さった言葉も、全てが今そして今後の自分に不可欠なものなのだと感じます。お客様にお伝え出来るものも、そのもとは全て自分ではなく周囲から有難くいただいてきたものなのだと思います。 循環の中で還元していくことを大切にしたいと思います。

  4. コメント

    昨年に引き続き今年もまた、そして全員が無事に到着できたことを思うと目には見えない何か力が働いていることを感じます。そういった力を感じると手を合わせるような「あぁ、よかった」という気持ちが湧いてきます。目には見えないところからも力を貸して頂いていることに感謝し、頂いた機会・役割を務めさせて頂きたいと思います。【〇】

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