世界の盟主

先日、オランダに在住する日本人のリヒテルズ直子さんと話をした。
日本にイエナプランを通して気づきの機会を与えてくれている方だ。

この方は、マレーシアに留学後、ケニア、オランダ、コスタリカ、ボリビアなど開発途上国への農業技術指導専門家のオランダ人の夫とともに訪問し様々なことを体験して学んできている。

リヒテルズ直子さんは今の世界の中での日本の状況を憂い、高い志でこの日本にあるかんながらの潜在的な天分を再構築して今の時代のありようにあわせて新生し、日本をアジアを牽引していく凛とした国に易えたいと強く念じているようにも話しをしていると感じる。

私も外国に住んでいた時期があるのだが、外国に棲んでいると日本人であることをどうしても意識して生きていくような環境が常に身近にある。

人間一人ひとりのアイデンティティは、属している家庭を皮切りにその国の文化や歴史、伝統などが密接に関わっている。異文化異民族が身近にいるとそのあまりにも目に見える異なる部分が明確に可視化されているから意識を持つのだと思う。

もちろん外国の人に限らず変わった人はたくさん居る。
それはそれで価値観がまったく違うだけという話。

世界では同じ人間がそれぞれ好き勝手にやっているだけといえばそうなのだろう。

そういう意味では価値観が違って、自分の狭い視野で他人と争うことはあっても人間はみんな同じところからやってきているし、同じところに帰っていく真実は変わらない。

しかし、人間というモノサシでみれば人間はとても脆弱なもの。
何もしていないと、何をしてしまうかが本当に分からないのが人間の性(サガ)。

だからこそ、論語があり、仏陀があり、禅があり、道徳がある。

人間は放っておくと勝手に集まって依存して責任から逃れるために何をしでがかすか分からない本当に危険な存在のような気がする。

これはひょっとしたら仏教で言うところの「業」という名の生物的な動物本能なのかもしれないなと私は思う。

これから世界はいったいどの方向へ進むのか?

そう鑑みながら眼前の幼児期の子どもを見ているとなんとなくこの先の将来が観得てくる。

・・・どうみてもこのままではいけない・・・

そう思うとき、日本という国の偉大なミッションがあるのではと私には思える。

ノーベル賞受賞の科学者アインシュタインが、1922年に来日の折に遺した言葉がある。

『 世界の未来は進むだけ進み、その間幾度が争いは繰り返されて、最後の戦いに疲れるときがくる。そのとき、人類は真の平和を求めて、世界の盟主をあげねばならない。

この世界の盟主なるものは、武力や金力ではなく、あらゆる国の歴史を抜き越えた、もっとも古く、もっとも尊い家柄でなくてはならぬ。

世界の文化はアジアに始まってアジアに帰る。それはアジアの高峰。日本に立ち戻らねばならない。

 われわれは神に感謝する。

われわれに日本という尊い国をつくっておいてくれたことを 』

世界の調和を考えるとき日本という国のアイデンティティはとくにこれからの世界にはとても重要な役割を担っているのように思う。

隣国中国の台頭から、アジアは一気に21世紀中に展開図が激変する。
そしてまた一層の分化が進み、新時代を積み重ね成長と進化を繰り返し続けていく。

だからこそ私たちは決して忘れてはいけないのは私たちが受け継いできたこの国の先人が遺した大和魂の本懐だと思う。

最近流行っている昭和への逆行や昔が良かったから昔に戻ろうなどとは絶対に思ってはいけないと私は思う。

それはただの憧憬であるだけで、現実逃避以外の何者でもない。
そんな姿勢で世の中がよくなるために変わってく原動力になるはずがない。

今こそ、新しい時代の幕開けに自分のミッションを通して何ができるかに挑む時期なのだと思う。

この出会いに感謝し、いつの日か世界で活躍する子ども達がたくさんこの国から巣立っていけるように大和人のモデルになっていけるように世界観を常に大事にして学び続けていこうと思う。

今、目の前にいる子ども達が世界市民として広い世界で自由闊達に活躍している未来を念じて。