豊かな社會の創造

先日の藤森代表の講演で「自立は助けてもらうこと、協力してもらうこと」とありました。世の中では自立は助けてもらわないこと、独りでできることと教え込まれて刷り込まれていますが依存と自立が間違ってしまっている人が大勢いるように思います。

いつまでも持ち味を活かせないのは自分自身がいつまでも自立を勘違いしているからです。間違って歪んだ自立の刷り込みをどのように取り払うかが最初の関門になってくるように思います。これは「助けてください」と自分から言えるかどうか、また自分からいつも周りに損得を考えず積極的に尽力しているかどうかだと私は思います。

プライドが高い人や頑固な人、言い換えれば自立したいと刷り込みが深い人ほど人に助けを求めません。格好つけては助けを求めようとはしません、しかし助けを求めなければ周りとのつながりができません。人は他人に迷惑をかけている生き物だから、迷惑をかけないことを望むよりも迷惑をかけて感謝することの方が大事なのです。

そして迷惑をかけていることを自覚しているからこそ、御蔭様に感謝し御恩返しをしようと自分が周りに協力していこうとするのです。迷惑をかけている自分が、周りの迷惑を自ら引き受けるようになるのです。それが御恩返しになり、御互いの絆が深まり繋がりができ社會が形成されていきます。

今では、自分は問題を起こさずにキチンと仕事さえできて結果がでていれば迷惑をかけていないと思い込み、今度は周りが迷惑をかけるのを過度に嫌い迷惑をかける人を罵倒したりさげすんだり、いつも自分のことばかりを優先する人が自立している人などと勘違いしている人もいます。人が人に迷惑をかけていないことなどは一切ありえず、自分の知り及ばないところで本当に多大な迷惑をかけているのが人間です。

そういう存在だと自分から自分で自覚することが助けてもらい協力してもらうことが善いことであると納得することにつながっていくように私は思います。何もできない存在が価値がないではなく、何かできるから価値があるのではなく、自分の持ち味を活かして周りに貢献できているのが人間の本当の価値です。

先日、新潟での理念研修の中で重度の身体障碍者の方がお店の店長をしていた映像を見ました。車イスで動けないのですが、ひとつ商品がお客様に買ってもらえるととても嬉しそうで仕合わせな笑顔をしてくれます。社員たちはその笑顔を見たいからもっと商品を売ってはその店長に報告にいきます。

これは重度障碍者で笑顔しかできないではなく、その人の持ち味を活かしているのです。人は他人の善いところを見出しては、それを活かせばそれはその人の持ち味として周りに貢献できます。

如何に貢献できるようにするかは、その人が仕事が周りと同じくらいできるようになればいいのではなく、自分が思い込んだ結果を人並みに出せればいいのではなく、その人の持ち味を周りに使ってもらい、いつも周りのためにと尽力し続けて貢献すれば自ずから自分の持ち味を発見し社會の中で自立することになるのです。

依存というのは言い換えればいつも自分のことばかりに執着し自分勝手に我儘で周りを省みることもない状態になっていることです。感謝や恩返しなどもなく、御蔭なども忘れている状態です。社會の一員として如何に迷惑を善いものへと転換しているかは、自分勝手なことよりも周りと一緒に成長したいという豊かな社會の創造なのです。

引き続き、刷り込みを取り払うために具体的な仕組みを開発していきたいと思います。

  1. コメント

    自分が正しいと思うのではなく何か間違っているところがあるのではないかと疑い、自分自身の研究が必要なのだと感じます。何がどうしてそうさせているのか、意見をし様々な表現を通して善いものに変えていきたいと思います。

  2. コメント

    「べてるの家」でも、「自立とは、依存先を増やすこと」だと仰っていました。しかし、「助けてください!と言うことは、死ぬほど恥ずかしいことです」という言葉がありましたが、真逆の価値観を刷り込まれてきた私たちには、とても難しい「意識転換」です。「恥ずかしい」という価値観はそう簡単には変えられません。他にもいろいろ自分を縛っていますが、「大義」を掲げて勇気を出したいと思います。

  3. コメント

    保育の中で、ケガという目先の危険を防ぐために、危ないものを取り除くというのと近いものを感じます。本当に大切なことは目の前の危険が無くなることではなく、それを目指すことでもなく、その先にある本当の危険を回避できることだと思いますが、そもそも舗装されたアスファルトの上ばかりを歩いていたら、それすら気づくことが出来ません。自我という環境の中にいないか、常に確認していきたいと思います。

  4. コメント

    お客様の園で、昔から自分1人では何も出来ない子ども。今もそうなんです。とおっしゃる副主任がいます。大変若く、それでもみんなが頼るのは、自分1人では出来ないからこそ周りを巻き込む力なのだと感じます。その方のオープンさ、弱さを出せる素直さを真似ていきたいと思います。

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