懐食

日本から離れて生活をして日本に戻ると日本の有難さを実感するものです。

これは誰にも言えることで、例えば日本食などもそうですが久しぶりに食べる故郷の食事に感動しなんでこんなに美味しいのかと覚えるものです。一杯の味噌汁と玄米、漬物という組み合わせに感激するのです。

私の場合は玄米食なので、帰国後に食べる玄米に生きていて善かったと思える程に幸せを感じます。美味しいということは、すなわち味だけのものではなく五感全部が歓んで幸せを感じて安心していることをいうのです。

そして久しぶりに食べる食事に、私たちは懐かしい故郷に帰ってきたと歓んでいるのです。

この懐かしいと思う気づきは何かといえば、もともとここで生まれ育ったという確認なのです。三つ子の魂がなぜ大切かというのも、この故郷がどこであるかを持つことで心が安住する地をもつのが私たち人間なのです。

現在、福島原発の周辺で放射能で住めなくなってそれを移住すればいいとかいう人もいますが、では日本に住めなくなったから外国に往けばいいと同じように言えるのかということです。誰でもどんなところになっていてもやはり幼少期に生きた故郷に戻りたいと思うはずなのです。

遠い先祖は、神話の中で開闢の心を説きました。
故郷を離れるというのは、本当に大変なことであるのです。

私たちが故郷に戻れるというのは、故郷が私たちの幼い頃の記憶だからです。
そしてその記憶は常に心の中にあり、戻ってきたことへの幸せと安堵感を覚えるのです。

何を故郷にしているのかはその人その人で異なりますが、食は本当に誰しもの故郷ではないかと思うのです。

食べることを通じて、地域にいることを感じ、食べることを通して、周囲の人たちの愛を感じ、食べることを通して、原点に回帰しています。

食べることは毎回、己の故郷に帰ることかもしれません。

素食という言葉よりも、懐食をしていきたいと思います。

 

 

  1. コメント

    胎児期の発達で「味覚」がほかの感覚より後になるのには、「味わい」と関係しているように感じます。ゆっくり時間をかけおいしいと感じる懐かしさには、お腹のいた頃のことを感覚的に思い出しているのかもしれません。口に運ぶ運動、舌が感じること、運動そのものが学んだその感覚順に普段無意識に起こしているのだと思います。懐かしさは思い出さなければ感じられないことですので、小さいころの記憶を大事に辿っていきたいと思います。

  2. コメント

    自分自身にとって懐かしい食事とは何かを遡ってみると、いくつか思い出します。それが、今の我が家の食卓に並んでいる事も嬉しいですし、妻の家庭の味が並ぶのも嬉しく思います。子ども達はこの二つの血筋が混ざった食卓の味を家庭の味と覚えていくのだと思うと、楽しい、身体に優しい、美味しい食卓にしたいと思います。

  3. コメント

    食を通して大切な事に気づけるという事は本当に有難い事だと思います。実際に私も日本に戻ってきて、主食を口にする中で何とも言えない気持ちになりました。それはおいしいとかんじるだけでなく、季節を感じ、人のぬくもりを感じる事が出来ます。食には大切な意味があるのだという事に改めて気づかせて頂けました。

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