真の発酵人~地球が喜ぶか~

人間の腸内には今わかっている範囲で100種類以上、100兆以上の膨大な微生物が生息しています。その微生物群の状況は、人間の指紋と同じく一人ひとり同じものはまったくないといいます。つまり、その人の体の状態に合わせてバランスよく微生物が配置されているということです。

この微生物たちが人間を活かしているのは、この微生物が食事をしたものを消化して発酵することで人間のエネルギーに転換されるからです。これは植物の根粒菌と同じく、土の栄養も根っ子の微生物がいなければエネルギーに転換されないように人間の根も同じく腸の微生物が栄養を転換しているのです。その根粒菌が死滅すれば植物が死滅するように、人間の腸内細菌が死滅すれば同じく死滅するのです。

その腸内細菌は、常にバランスを維持しています。健康も不健康も、その人の腸内の微生物の環境によって左右されていきます。よく生活の立て直しは、食の立て直しからといわれる所以もまたその腸内のバランスを立て直すことをいうのです。

先日、ナショナルジオグラフィックのニュース(「Nature」誌オンライン版に9月17日)で興味深い記事がありました。

「「ただより高いものはない」という言葉があるが、最新の研究によると、“カロリーゼロ”食品に使われる人工甘味料にも当てはまるようだ。イスラエルの研究チームは17日、サッカリンなどの人工甘味料は腸内細菌を変化させて血糖値レベルを引き上げる可能性があると発表した。砂糖の代用品である人工甘味料が、避けるべき状況を逆に招いていることになる。」

これは砂糖も人口甘味料も同じく、腸内細菌のバランスが炎症に傾き血糖値を変化させてしまっているということです。結局は添加物というものが腸内に与えている影響がとても大きいということを結論付けます。

今の時代は、日常は意識していませんが今の日本では年間平均4キロの合成添加物を摂取していることになっています。これを10年続ければ当然40キロ、20年では80キロというように自分の体重を超えるほどのものを摂取し続けているのです。

ひとたび合成添加物が入ってくると乳酸菌よりも、その添加物を分解吸収しようと日頃は日和見でいる菌や敢えて炎症を起こすような悪玉菌が活動してエネルギー転換しようとします。そうすると腸内のバランスもまた崩れ、それが人体に影響を及ぼし調子を悪くしてしまうのです。

昔から日本人が大事にしてきた「菌食」というのは、乳酸菌発酵食のことです。菌食をやめれば心身のバランスが崩れると言われるのもその理由からです。昔から大事にしていた味噌汁などの麹、漬物などの乳酸酵母菌、玄米などが持つ玄米発酵などをやめて安易にお菓子やコンビニで買えるようなもので代用するから心身の調和が保てなくなってきているのです。

体というのは心と密接で、病気になれば体だけではなく心にもダメージを受けますから心を健康にするのは体が健康でなければなりません。心身を健康に保つというのは、食生活を改善するということです。そして食生活というのは、言い換えれば生き方ですから生き方を改善するということになります。

眼には見えないところで、私たちは微生物たちのハタラキによってこの体を動かしていくことができます。微生物たちがエネルギーを細胞へと送り届けて体を動かすことができます。細胞の中のミトコンドリアも核がありますから元は微生物だったのではないかと私は思います。

つまりここから導き出される推察では私たちの体はまるで微生物そのものということになります。人間の便1グラムに100~1000億の微生物ですから毎日排泄するということは日々に膨大な微生物が役割を終えて一緒に排泄され続けているのです。そう考えてみても微生物を殺すような抗生物質も、洗剤も薬品も、それがまわりまわって自分たちの体を痛めつけていることを忘れはいけません。

なぜ人工添加物がよくないのか、なぜ抗菌農薬がよくないのか、これは自分たちの体が何でできているのかを自覚すれば自ずから自明すると思います。

微生物たちが喜ぶものを日頃から摂取していくというのは、いつも微生物の御蔭て活かされているという感謝の気持ちを忘れない実践になります。日頃目には見えないけれど、確かな存在に活かされいる、見守られているという謙虚な心があることでまた微生物もお役に立ちたいと真の発酵をしてくださるはずです。

眼には見えないものへの感謝を忘れるとき、人は発酵しなくなるときなのでしょう。腸内の微生物を並べたら地球2周半ほどの長さになるそうです。私たちの中に膨大ないのちを活かしているということは、地球が私たちを活かしているのと似ています。地球が喜ぶ生き方かどうか、これは真の発酵人につながる思想ですが私もそれを体得していきたいと思います。

  1. コメント

    人間の体は奇蹟に満ちています。食べ物の消化・吸収から、血液の創造、免疫力や自然治癒的働き、また、心と体の関係まで、不思議なことばかりです。なかでも、「食べ物をエネルギーに変える働き」は最高の創造力です。これらの体内の働きは、自由にコントロールすることはできません。任されているのは「口にするもの」と「思い」です。この二つのコントロールこそ、人生を支えるものです。人生に与えられているものを生かすべく、基本的な努力のあり方を見直したいと思います。

  2. コメント

    毎日の食事も腹が減ったから時間が来たからと言って食べているだけでは餌と変わらず、更には食物や関わった人への感謝だけでなく、腸内細菌・体内酵素が活性化して体が元気になることを願いながら食べるのが本来の食べ方なのかもしれないと感じました。原材料名は見ることがあっても、どこまで先の働きまで感じることが出来ているか、それによって食事の意味も大きく変わるのだと思います。子どものためにも大切な実践として意識を変えていきたいと思います。

  3. コメント

    菌が金に取って変わり、今は違うきんが増えているのだと思うと時期が来れば元に戻るのかもしれません。ただその時にもともとどういったものを食べていたかその文化を伝承していくためには、その技術がなければ廃れてしまう事も感じます。大豆も膨らみはじめてきました。味噌と一言で言ってしまえばそれまでですが、作るにあたっての過程を知るとその手間ひまの多さに頭が下がります。まだまだ取り組みはじめてばかりですが、体験して本当はどういったものをかも求めていきたいと思います。【●】

  4. コメント

    昨日、母にも引っ越しを手伝ってもらい、夕飯の味噌汁を飲んで貰ったのですが、帰りに駅まで送る時のことですが、日本人は発酵食品をちゃんと取らないといけない、と唐突に言われました。老人ホームで働く母ですが、どうやら最近の老人達は嗜好品や頂き物で本物の梅干や味噌を手にする人が少ないと言うのです。梅干も一粒数百円もするものを好むそうですが、蜂蜜や鰹だしで加工したものであったり、味噌も天然の菌で作られたものを食べる人は殆どいないそうです。乳酸発酵をしているものも、今は少なくなってしまったそうですが、子どもの頃の我が家では毎日いろんな野菜の古漬が食べられた事を思い出します。また、味噌も毎回味噌屋さんまで買いに行っていたのですが、聞くと本物がスーパーには売っていなかったからだそうです。そうやって知らずのうちに身体を守り続けてくれた母に昨日は改めて感謝の気持ちが湧くと共に、自分自身も次の実践を決めて行きたいと思います。

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