我執の魔障

心を学ぶということは、心を磨くことで自らの生き様を変えるということである。

これは過去の聖賢の人たちの軌跡を学び、その人たちと同じような心のままで自分もあるかを観照しつつ内省し、新たな日々を正していくことで心の曇りを取り除いていくことであると私は思う。

なぜ日々に新たに学ぶかと言えば自分の生き方が本来の天命に叶っているか自然から離れてしまって歪んでいないかということを常に流されないように確かめるためでもある。

生き方を問うとき、それは心を問うことになる。

その心を問うときに、素直に生き方を変えることができる人と頑固にいつまでも自分を変えようとしない人がいる。

それは最初の問いの境目に、欲か心かのところですでに正否が決まっているのである。

それは生き方というものが何かを考えるとき、その人が何を優先しているかということを問い、その人が何を最も大切にしているかということを確認することが人生なのだとも思う。

日々に素直な人はすぐに根本まで辿り着き、答えが顕われる。
しかし日々に歪んでいる人は自我欲が邪魔をして、自分都合の歪んだ答えが顕われる。

この自我欲とは、私心のことであり、常に出来事を自分の方へと向ける心、自分の事の方が大事だと思っている心、いつも自分中心に物事を裁いている我執のことである。

我執の強い人はいつも人生がうまくいくことはない、つまり心が素直にならないから豊かではなく貧しいのである。その貧しさゆえに、様々なことがおかしくなっている、例えば人の話を素直に聴くことができなかったり、人間関係でいつも失敗したり、金銭トラブルを抱えたり、今が幸せだと思えることがなかったりする。

それは自分の中に棲みついている我執がいつも邪魔をして、何か自分が責められるのではないかと不安と恐怖で防御してしまいその魔障の壁が邪魔をするからいつも素直に正直な澄んだ心が出てくることがないのである。

心が出てこず魔が決めたことにしているのだから表面上となり、すぐにそれは裏目に出たりボロが出たりし憑りつかれたようにまた我執にしがみ付くという悪循環になるのである。

その生き方の悪循環から一向に抜け出そうとはしないことを頑固だともいう。

何が頑固かというと、いつも自分の方ばかりを守ろうとする人が頑固だといい、そういう人は自分で自他を責めることにより常に壁をつくりいつまでも自分を守ろうして凝り固まっている。

なぜいつも自他を責めるところから入るかといえば、自他から自分の身を守るため、自分を自分が責めることで防御し、自分が相手を責めることで防御することができるからでもある。

その防御壁という名の欲魔が障壁をいつもつくり邪魔をすることで、心を問う行為がいつも真心に到達できずにいるのである。

そして生き方とは、常に自分の心が決めることなのだから、そこが間違えてしまっては本当の自分の真心ではないのだから何をやってみても根本的には解決せず真に自分を変えることはできないのである。

自分を変えるということは、生き方としての在り方をどうありたいか、それはつまり本当に守りたいものは自分ではなく心の澄んだ自分の心で決めた何かであることになっていなければ変わることはできないのである。

だからこそその魔障を取り除くためにも正しい学問、日々の生活で慎み自分を格す必要ががあるのである。

自分が変わるというのは、自分の澄んだ心のままでいることは壁を自分から先に造らないことであり、誠の心を開いて素直に自分の間違いを正していこうと精進し、一番大切なもののために自分を使っていきたいという命の姿勢そのものの心の態度を変えることからはじめてできることなのであろうとも思う。

世の中には、おかしな教育を受けたり、幼い時に悲惨な思いをした人たちもたくさんいます。そういう環境にあったことを認め、哀れみの真心という慈悲愛心をもって、自他の境を超えていきたいものです。

万物一体の仁にはまだまだ道遠く感じますが、聖賢の方々の実践の気づきには学びに勇気づけられています。

致良知の実践、心を常に省み、一歩一歩を踏み締めながら誠を磨き、丁寧に過ごしていきたいと思います。

  1. コメント

    日々自分自身に問題を問いかけることの大切さを感じています。言葉の定義を現すことで自分自身がどのくらい理解し考えていることがよくわかります。話し言葉と異なり、曖昧さがあれば文章として成り立たず、文章が自分自身を現しているように思います。書きっぱなしにするのではなく、自分自身の言葉を振り返りどこまで自分自身と向き合えているのかを大切にしていきたいと思います。

  2. コメント

    自我の為に生き、自分を守ろうとする人と、自分以外の大切なものの為に生き、それを守ろうとする人。
    それを見たときに、助けたくなるのはどちらだろうか。有難い生き方とはどちらだろうか。また、感動するのはどちらだろうかということを教えていただきました。自分を守ることよりも、自分を自然な状態に保つことを大事にしていきたいと思います。

  3. コメント

    今の私は素直さをテーマにしていますが、やはりそこに私心が入り自分がほんらい大切にしたいと考えていた事や守りたいと思っていたことを見失ってしまう事が多くあります。しかしその原因に気づく事が出来なかったのが今までではないかとも思います。今自分の中では「自分から」という事を合言葉に日々を大切にしています。大切なものを守る為に自分の周りに壁を作るのではなく、相手に変化を求めるのではなく、自分から変わるのだという事、先ずは実践していきたいと思います。

ocean へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です