自尊感情

先日、自尊感情について考える機会がありました。自尊感情とは何か、それは私の言葉では自己認識のことです。自己認識とは、自分がどうしたいのかを自分が素直に理解できるということです。自分自身の気持ちが感情を含めて分かっている、もしくは自分自身であることを肯定できているという状態のことです。

論語にこういう一文があります。

『子曰、人之生也直、罔之生也幸而免』(子曰く、人の生くるや直し。これをしいて生くるや、幸いにして免がるるなり)

意訳ですが人は自分の素直でなければ真に正しく生きることができない。これまで生きてこられたのは運が善かっただけだという意味です。他にも論語の中には、正しいことを理解できるには本当の意味で自分自身を素直に理解できなければ難しいという言葉や、克己心の中で自分を知ることの大切さを何度も語り掛けます。

これは自分自身との付き合いにおいてどれだけ自然体であるか、言い換えれば素直であるかが大切だということです。人は実際は外側で発生する失敗は、ほとんど全ては自分自身になれないことで発生します。つい他人の評価や、自分を何かと比べて評価することで自己認識していますが本当の自分の心に素直になれないから問題がいつまでも解決することがなく繰り返されてしまうのです。

人間には感情というものがあります。

よく感情を押し殺して我慢して感情と自分を分けている人がいます。しかしこれは本当の自分ではありません。自分の感情を含めて自分自身ですから、自分の中にある感情を肯定して自分自身と認識しなければいつまでも他の人との心を結び和合していくことができません。

自分自身との和合ができるということがあって人との和合もまたできるからです。その和合をするには、「心から笑う」ことができたり、「自分自身が納得している」ことであったり、「自分の心を開く」ことができていることだとも思います。

自分自身のことを自分自身がどのように認識しているかは、その人の人生観を決め、その他の人たちの価値観を決めてしまいます。丸ごとの自分を受け容れるとき、人は本当の意味で自分に自信を持つように思います。丸ごとの自分の中に感情があることを受け止めるということは自尊感情を大切にするということです。

自分を我慢して自分を粗末にしてきたら結局は同じように人を我慢させ人を粗末にしてしまう人になってしまいます。「自分はどうしたいのか」という気持ちの方と向き合うことで人は本当の自分自身に出会い自分を大切にすることができるように思います。

自分は天から与えられた存在だからこそ、その自分を大切にすることが天に報いるということかもしれません。自分自身を大切にする真心をもって周りの人たちのことを同じように思いやれるということが素直な自分自身になるということかもしれません。

自分が自分でいられなかった社會のツケは、子どもたちの心に深い影を残してしまいます。社會を変えるということは、これらの刷り込みを取り払い自分自身でいい、あなたのままでいいという環境を醸成していくことです。

自他に無理をしないその人になっていけるよう、自分自身が素直を体現し、その人の刷り込みを取り払えるよう祈りの実践を高めて直向きに真心を盡していきたいと思います。

  1. コメント

    「自尊」の対極に「自虐」がありますが、自虐的に考える人の最大の勘違いは、「自分は自分の所有物である」という非常に傲慢な価値観ではないでしょうか。これが、本来、「もっと尊いものから与えられた存在である」という認識に立つなら、自分の好きなように自由に扱うことは、非常に不遜で失礼なことになります。「存在」を善悪で考える発想自体が、間違っているのではないでしょうか。

  2. コメント

    感情が先立ち焦燥感に駆られるのは、行動よりも頭が働いているからなのだと感じます。もっと体を動かし行動していきたいと思います。【●】

  3. コメント

    朝のホームでの出逢いから優しい感情を大事にしたいと思い返させてもらえたり、園の先生のイキイキとした姿から改めてどうありたいかに気づき直すことが出来たり、本当にお陰様によって素直を取り戻す自分がいることを感じます。甘さや厳しさは時によって違うかも知れませんが、何が本当の自尊・自虐かを自分なりに消化していきたいと思います。

  4. コメント

    自分が目指す生き方も、自我でやりきるのか、自他を一体にするのかというので変わると感じます。ミマモリングも、見守れるところだけミマモリングするのか、それとも分からなくても丸ごと突っ込み一緒にやっていくのか。軸足が自分にあるか、相手にあるか。頂いた一回限りの人生、大胆に軸足を相手に置ける自分になれるよう、感謝の状態で居られるように、毎日の実践を大切にして行きたいと思います。

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