待つ文化~自然調和~

私たちの精神文化の根元には「待つ」という考え方があるように思います。なぜなら古いもの懐かしいものに触れていると、自然淘汰というやさしさを感じるからです。この自然淘汰はどこか悪いことのように認識されていますが、本来はそうではなく自然が調和させるという意味で元の姿になるといってもいいかもしれません。

この自然淘汰の意味は辞書では「自然界で、生態的条件や環境などによりよく適合するものは生存を続け、そうでない劣勢のものは自然に滅びていくこと。転じて、長い間には劣悪なものは滅び、優良なものだけが自然に生き残ること」(goo辞書)と記されています。

滅ぶことが自然淘汰という意味になれば印象も悪くなりますが、そうではなく自然調和されるとなると意味も異なります。淘汰の語源は、 「淘」は水洗いして選り分けることを意味し、「汰」は勢いよく水を流してすすぐことを意味する。水で洗って選り分けるという意味です。

自然に循環するものは、水によって浄化されていくものです。私たちの呼吸する空気の中にも大量の水分があり、水分が洗うことで元の水の状態に戻るために不純物を取り払っていきます。長い時間をかけて水が通ることで私たちは自然調和を取り戻します。

水があるからこそ私たちは生きていくことができ、水があるからこそ私たちは滅びていきます。水が万物生命の根源であることは揺るぎない真実です。日本の国土は、美しく瑞々しい水に包まれています。新鮮な生き物たちが多く、そこには水と共に暮らして順応した生き物ばかりです。私たちは水から学び、水を通して文化を形成してきた生き物です。稲作などは水の文化の代表的なものです。

水は循環してきますから、次にどのようになるかを観察して私たちは水を上手に活かしてどれくらい長持ちさせられるかを考えます。水は扱い方次第でいくらでも調和の技術を活かせます。その最も根幹にあるものは「待つ」ことです。言い換えるのなら「調和を待つ」といってもいいかもしれません。

長い時間をかけて待つことができるのは、水の循環を直観しているからです。水が循環するのを学ぶ人は、地球が「待つ」ことで調和するのを知っています。如何にその「待つ」速度に合わせて調和の中にいるか、先祖はそれを見極めて暮らしを充実していたのでしょう。

天から降る雨をただの水とは思っておらず、地下に流れる水もまたただの水ではない、さらには地球を循環する気化水のこともただの水とは思っていない。私たちのいのちの原点としての水を観ることが日本の文化を学び直す近道になるように私は思います。

引き続き、待つ文化を学び直しながら水を深めていきたいと思います。

  1. コメント

    「生成発展」というのは、現在の「調和」を一時的に崩し、新しい「調和」を創り出すことで生まれると言われます。乱れた湖面がやがて限りなく平らかになるように、その一時的な「アンバランス」を「バランス」の良い状態に戻そうと働く力が、大自然の法則として常に働いているのでしょう。この変化の時間を楽しみに眺めている眼が、「待つ」ということの意味を現しているのではないでしょうか。

  2. コメント

    ふと、子どもの頃一人でお留守番をしていた時のことを思い出しました。いつ帰ってくるのかと、何度も窓から外を見ては帰りを待ち、買い物で出かけていた位ですから、30分か1時間ほどだったと思いますが、その時間が随分長かったように感じます。自然界からしたら1時間ではあまりにも短いかもしれませんが、こういった積み重ねを繰り返し今に至り、年齢と共に自分自身の荒々しいものが調和していっているのだろうかと思います。見通しを持って待つ自然に沿った生き方を自分自身も目指していきたいと思います。

  3. コメント

    良い悪いと決着をつけようとすると待つことはできませんが、ただ時間が経つと、良い悪いもなくなり、感情も自然と整理されていく経験が日頃あります。ただ待ってみることで時が解決してくれるというのは、この自然淘汰のことを言うのだろうかとブログを読んで感じました。待っていると、受け取り方を替えたり他力に気づくことが出来ますが、それに気づけないのが待てないときなのだろうかと感じます。ピーステーブルの出来事一つも、先生方は「待つ」ことで子ども同士の他力や、それ以上に不思議な自然淘汰の力が働いたりするのも、同じなのかもしれないと感じました。先生方のように信じて見守れるような待つ姿勢を磨いていきたいです。

  4. コメント

    ある方の血液がとても清浄だったというお話がありましたが、人間の体内と地球とは似通っている部分が沢山あり面白みを感じます。血の巡りをよくしておくこと、汗をかくこと、私たちは自然治癒しながら生きていることを忘れてしまうと、同じように地球を汚してしまうのかもしれません。日本人の生き方が持っていた智慧を見直していきたいと思います。

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