善徳の舵

船旅というものがあります。大海原で目的地に向かって移動するのですが、船には舵取りというものがあります。難しい航海もあれば、簡易な航海もあります。しかし天候や気候も変化し、四季も変わり風が吹きます。どのように風をつかんでいくかは船乗りと舵取りをする人次第です。

これは会社経営でも似ています。乗り組み員たちはその大切な旅の船員であり私たちはクルーであると定義します。この呼び名はスタッフであったり、パートナーであったり、キャストであったりと会社によって異なるものです。私たちの場合は、志を同じくして目的に向かって船旅と運命を共にしていく存在をクルーといい、私たちと共に子どもたちの本当の仕合せを求道し実践する仲間のことをパートナーといっています。ある意味、この時代の航海を共にする船団のようなものです。

その船団をどのように導いていくのかは、その船団をリードする舵取りが必要です。この舵取りは、目指す方向へ導く大切な役割を持っています。今、どの辺でどのような風が吹き、そしてみんなでどうその風を捉えて辿り着くために行動するのかということも同じです。

目的地のない旅に善い風は吹かないという言葉もあります。そして難しい航海ほど、熟練の知恵が必要だともいいます。また誰も進んだことのない航海であればあるほど、暗闇の中の航海に似ていて全身全霊で完全であることが求められます。どちらにしても、どの方向に導くかは舵取り次第です。

よく考えてみると、遠くを目指せば目指すほど旅は困難になるものです。地図があるわけではなく、わかっているのは海の上で羅針盤と船があるだけです。そこに時間をかけて船乗りが増え、船団になり、前に進んでいきます。

船によっては巨大化させて膨大なエネルギーを消費して進んでいく船もあれば、小さなヨットのような船もあります。どこまで旅をするかで船の大小も装備も備品も異なります。また港へ入り、体制を調えながらその先へと前進していくものです。そして船乗りたちも新旧、色々とあり旅は続きます。

少し立ち止まって今までを振り返ってみると、ずっと一緒に乗り合わせてきたクルーの人、そしてまた新たに乗り合わせてくるクルーの人。パートナーなど、みんなで新しい風に吹かれて出航していきます。

また新たな舵取りがはじまり、いつの日かその旅の続きを任せる人に交代していきます。一期一会の旅路が仕合せであったこと、そして善い風に巡り会えたことが奇蹟です。

子どもたちの仕合せのためにと歩んできた航海はいつも善い風と徳の船に恵まれてきました。これからも善徳の舵をもって前進していきたいと思います。