バランスを保ついのち

この時期は三寒四温といって、季節の変わり目で寒くなったり暖かくなったりと気候が激しく移り変わります。自然は常にバランスを取ろうとして、暑くなり過ぎれば寒くなろうとし、寒くなりすぎれば暑くなろうとします。これは人間の体温も同じく、一定に保つために暑くなれば汗をかいて冷やし、寒くなれば震えて温めようとします。

温度を一定に保つために、絶えず休まずに自然も身体も働くことを已めません。

私たちはその時々を切り取って物事を判断しますが、自然や身体は常に動き続けて休まずに働いていますから切り取ったのはその状態を認識するために無理やり切り分けたことで実際は切り分けたその瞬間にもバランスをとるために全てのものが動き続けている真っ最中なのです。

バランスを取り続けているからこそ、常に動き続けて已まないままに物事を認識しなければ実際の現実とはかけ離れてしまうものです。変わり続けているからこそ、この先にどのように変わるのかは一緒一体になって変化している自分もその変化の中にある必要があります。

それを「今」とも言います。

この今は、常にバランスの中心になっています。今がどうであるのかを観て、今が変化の最中であると思い今に全身全霊で盡していけば自ずから変化の中をとることになります。

バランスを崩すというのは、今から離れては未来を思い悩み、過去を引きずり、様々な執着にとらわれるということです。変わり続けないものはこの世には一切ないと開き直れば、楽観的に信じて耐えて待つという心境もまた持てるように思います。

自然の生き物たちが信じて待てるのはこのバランスを保ついのちの働きを知り、そのいのちのままに自然と一体になって暮らしているからかもしれません。思い煩わずその時々の今を精一杯に生きる生き物たちの姿から慎み学び直したいと思います。