磨く文化

縁日で開催した、「貝磨き」を通して磨くことの大切さを参加者が感じていました。ボランティアで手伝いに来ていた学生たちが、磨いたら光ることを知って感動して集中して何時間も磨いていたのは印象的でした。

この磨けば光るということを知っていても、磨き方をどうすればいいかまでは体験してみなければわかりません。貝を通して自分の磨き方を伝授していく講師の声に、真剣に耳を傾けている様子に美しいものを感じました。

昔は、貝は貨幣として大切にされてきましたが今では貝殻といって粗末にされることも増えています。日本家屋、特にここ聴福庵は漆喰を多く使いますから貝が家の一部として一緒に空間を維持しています。

この自然物を用いて磨くというのは、自分を磨くのに最適な砥石になります。砥石も自然物ですが、貝もまた自然物です。砂浜で波に揺られて磨き合いながら、角が取れて円くなりさらに光っていく貝殻のように、自分もそのリズムで磨かれていく。

日本人は伝統を通して自分磨きをし続けてきた民族でもありました。自分を磨くことこそが伝統を継ぐことであり、磨いてきた結果として日本の文化が今でも遺っているとも言えます。

時代を超えてもっとも大切なことはこの磨く文化を子どもたちに伝承していくことではないかと私は思います。

引き続き、磨く文化を仲間と共に磨き合いながら伝承していきたいと思います。