錫錫と歩む

近く、托鉢をするのに色々と準備をととのえています。錫杖はすでに3年前にご縁があり、手元にありました。この錫杖はこの日が来るのを先に知っていて私のところに伝来してきたのかもしれないと感じています。

この錫杖というものは、比丘十八物の一つで修行僧が野山を巡業する時、猛禽や毒虫などの害から逃れるためにこれをゆすって音を立てながら歩いたものだといわれます。一般的には、銅や鉄などで造られた頭部の輪形に遊環(ゆかん)が4個または6個または12個通してあり、音が出る仕組みになっています。このシャクシャク(錫々)という音がなるので錫杖の名がつけられたともいわれています。

錫杖の長さは一般的には170センチメートル前後といわれますが、私の手元のものは180センチメートルほどあります。これは前の持ち主が長身だったのかもしれません。また法会、儀礼の場で使われる柄の短い手錫杖というものもあります。また錫杖は常に浄手(右手)に持ち不浄手(左手)に持つことを禁止されています。

この錫杖の功徳の意味は、仏教の錫杖経というものの中に記されています。具体的には錫杖のその清らかな錫の音によってあらゆる衆生の厄災をも祓い、108の煩悩からと人々を解き放ち、人々を悟りに導くそうです。

錫杖をもって各地を歩くことを巡錫ともいいます。これは他にも飛錫ともいわれていて平安時代には山野を抖擻(とそう)する聖があらわれ、修験道では遊行が重要な修行とあります。

この錫杖は、共に旅をし道を歩むときの大切な杖です。地蔵菩薩や千手観音がこの錫杖をもっているのを見ることができますが、この錫杖で道を歩み人々を救ってきたことを実感します。

どのような歩みになるのかわかりませんが、錫杖と共に新たな道を踏み出せることに有難さを感じます。英彦山から国東までの徳積循環する経世済民の世の中になることを祈り錫錫と音を響かせながら歩んでいきたいと思います。

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