恩送り

「恩」という字があります。この字の語源は、慈悲や恵みを顕します。「恩送り」という言葉があります。これは何ものかからいただいた慈悲や恵みを同じような心で他のものへと送るということです。

この「恩送り」というのは自然の在り方や生き方そのものであり、恩送りをする人はみんな自然の恩恵に感謝できている人とも言えます。

そして他にも、恩返しというものがあります。この恩返しは、何ものからかいただいた有難い慈悲や恵みを同じように感謝の心を忘れずに報いていきたいと願う心です。どちらにしても、恩返しも恩送りもそれは感謝を忘れない人が実践している心の境地とも言えます。

これらとは別に、恩知らずという言葉があります。これは恩を忘れたということではなく、感謝の心を亡くしてしまったという意味でもあるのでしょう。本来当たり前ではない、様々な慈悲や恵み、その恩恵というものに感謝しなくなっているとその人は恩知らずとも言えます。昔「恩樹」という言葉を知った時に、如何に樹の恵みが有難いか、そうやって周囲を活かすような存在になりたいと感じたことを思い出します。樹がなければ恩も知らず、感謝を忘れては樹も観えません。感謝の心とは全ての基本であり、いただいている慈悲や恵みを当然にし何でも自分のものにしては傲慢にふるまえば欲が増長し必ず恩知らずになり慈悲や恵みから遠ざかってしまうように思います。

感謝を忘れないといのは、常に恩返し恩送りを忘れていないということです。恩が観えるかどうかというのは、そこに自分に与えてくださっている恩恵に生きているという自分を自覚できているかとも言えます。

例えば今、生きているというのは恩の御蔭様で生きているということです。そこから死を思えば、必ず人間は誰でも一度は死を迎えます。死ぬことも恩ですから、死ぬと覚悟を決めて一日一日が一期一会だと心構えでいればいただいている時間もこのカラダも瞬間も環境も御縁もすべてが御恩の賜物であることに気づきます。その天から与えていただいた御恩を同じように他の誰かに送っていこうとするのは、その恩までも欲で私物化しないと決めているからです。人が御恩を私物化し感謝を忘れれば言い訳や文句、不平や不満が出てきてより我欲ばかりが優先されてしまいます。そうではなく私物化しないと、いただいた御恩を同じように天と同じ心で恩送りさせていただきたいと願うなら、自分のすべての行動は感謝で「させていただく」気持ちで行動できるように思います。

この「させていただく」ということが恩送りであり、そういう姿勢を忘れない人は感謝の心を亡くしていないということのように思います。してやっているとさせていただいているの間には、心構えや覚悟、そして何より生き方が出て来ます。

何でもさせていただけることを感じるのは、「恩」といった偉大な自然の恩恵に包まれて生きているということでしょう。「恩送り」の生き方を、子ども達に譲っていけるよう精進していきたいと思います。

  1. コメント

    頂いた有り難さを感じるのは、その時よりも後になって気付くことがよくあります。それは、1日後であったり1年後であったり様々です。真意に気付くのはきっと今すぐではないかもしれない、そう感じます。ただ、それでも見捨てず諦めず言って下さっている人が身近にいることを改めて感じます。人ごととせず、自分自身を振り返り自分の出来ることを尽くしていきたいと思います。

  2. コメント

    「恩」には、「受恩」「知恩」「報恩」があるといいます。一人ひとりの人間を生かすために与えられている「恵み」や「慈しみ」に気づく「知恩」が「感謝」であり、「感謝」できてこその「受恩」です。また、「感謝しました」ということで終わってしまい、「知恩」だけで完結してしまうのは、本当の意味の「感謝」とは言えないでしょう。本当は「受恩」の1%も「知恩」できていないかもしれません。見守られていることを忘れないように、「恵み」や「慈しみ」の眼差しを見逃さないように謙虚であり続けるとともに、せめて気づけた「知恩」に対しては、素直に「報恩」させていただけるようでありたいと思います。

  3. コメント

    「感謝」という言葉は小さい頃から知っていて、その言葉も遣ってきてはいましたが、その深さに気づきだしたのは、本当にここ最近のように思います。それは実際に「恩送り」や「恩返し」の姿勢をみせて下さっているからだとも思え、その頂いた気づきもまた恩なのだということを忘れてはならないと感じています。自分の姿勢を常に確認していきたいと思います。

  4. コメント

    有り難さを忘れ、感謝の実践を忘れ、感謝の評価者や評論家になって感謝の度合いを自分で比べることの無いように、頂いた人生を有り難く歩みたいと思います。

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