階層型組織から協働体組織へ

現在、キャリアパスなどを義務付けされ研修に参加することを法的に施工させるという現象が教育業界でも起こっています。そもそもこのキャリパスというのは経営学用語の一つであり、企業においての社員が、ある職位に就くまでに辿ることとなる経験や順序のことをいいます。職員や社員の視点では、将来自分が目指す職業を踏まえた上でどのような形で経験を積んでいくかという順序・計画を指し、キャリアプランなどを設定してはそれに沿って研修を受けて成長していくという仕組みです。

階層型組織、いわゆるピラミッド型組織で目標設定型で取り組んでいくような経営組織においては有効かもしれませんが今の時代のように多様化する変化に柔軟に対応していくような場合の組織ではこの階層型やピラミッド型の組織という戦略は私ならまずは選択しない方法論です。時代遅れというか、官僚型の仕組みをいまのような変化が大きな時にやろうとしてもニーズとの不一致は広がるばかりです。補助金を出すからキャリアパスをやれというのは、そもそもがおかしな話でこのような官僚型の発想で上から押し付けられたキャリアパスはやればやるほどに後の修正が非常に困難になるだろうと私は予測しています。

今の時代に必要な能力として欠かせないものは協働するリーダーシップです。それは社員一人ひとりにも必要となる協力する能力のことです。これをチームワークともいいますが、世界ではすでに戦略的に階層型組織をやめ協働体組織への変化にシフトしています。この協働体組織とは共異体組織のことであり、それぞれの徳性を伸ばし持ち味を活かし、皆で一緒にいることの相乗効果を最大限に発揮した組織のことです。

そのモチベーションの動機は決して個人の成長が優先されるのではなく、みんなの仕合せが優先されます。自分だけが良くなればいいではなく、如何にみんなが善くなるか、部分最適ではなく全体最適が行われることを最善とします。みんなが必要とし合い持ち味を活かし家族のような結束で豊かな社會を人間は本能で望んでいます。これは名君がいて平和に国が豊かに治まったような状態、それを実現した組織とも言えます。

古来より日本には、全体善という思想がありました。これは利己ではなく利他の精神であり、みんなが利他で思いやり助け合うことで豊かで幸福な社會を実現していくという考え方のことです。モチベーションを高めるために、馬の鼻先にニンジンをぶらさげるような場当たり的なキャリプランを設置しそんなものを与えてもやる気が永久に持続するわけはありません。もちろん短期的にはそれが合った人もいるでしょうが、視野を広げればそれで合ったはずはなく長持ちもせず組織も協働体になることはまずありえないでしょう。これで余計に個々のつながりが断たれバラバラになる仕組みが活発化し、その終息に数年から十数年かかるかもしれません。

自分でやったこともないことを絵に描いた餅のように施工するのではなく、実際にそのような協働体や共異体を実践して実現している組織の人物たちと一緒にどのように世の中を変えていこうかと話し合うことができるくらいに質を議論できるようになる必要性を私は感じます。いつも思いますが片方が一歩的に何かをやったりやらせたりするのではなく、正しく対話を行い一緒に考える中で磨き上げていくのが本質的な取り組みです。

日本では昨日ブログで書いた産学官連携においても、連携が既存の既得権益や悪しき風習によって学主導や産主導、もしくは官主導になっているだけの壁や枠が取り払われなければ本質的な協働などはまだ先の話のように感じてしまいます。ここの協働がまず成り立っていないところに問題があるように私は思います。

しかし批判してもはじまりませんから私たちは理念を同じくする仲間やパートナー、お客様と共に協働や協力を対話によって一歩ずつ実現する仕組みを地道に広げていこうと思います。

子どもたちのためにも、今の時代に合致した戦略、今のニーズに対応した対話の在り方を発明しつつ丁寧に実践を取り組んでいきたいと思います。