自分らしさということ

人は「自分らしく」や「自分の持ち味」を発掘し発見し、発展していくためにはどこかで「熱狂」しなければなりません。この熱狂とは熱中するや、没頭するという事に似ていて一度、自分を忘れるほどに何かに打ち込んでみてはじめて到達する状態のように思います。

私たちの会社でも、よく遣り切るや踏み込むなどという言葉が飛び交いますがこれは熱狂のことを定義します。つまりは、自分を捨てて我を忘れるほどの努力をするということです。自分を持てば持つほど苦しみが増えて、そこを避けようとすればするほどに辛くなりますがそこを乗り越えてみると自分らしさが見えてくるということです。

幻冬舎の見城徹社長さんがその著書「たった一人の熱狂〜仕事と人生に効く51の言葉〜」にその「熱狂」することの価値が紹介されています。

「自分にしかできないことに取り組んで、結果を出す。一度、結果が出ると仕事は面白くなる。他の人でもできることをやってもしょうがない。他人ができないことをやる。辛いが、これが仕事の王道だ。」(第一章 仕事に熱狂する)

この「自分にしかできないことをやる」というのは、他の人ができないことをやるということです。言い換えれば、その組織において自分の持ち味を活かすということです。同じ目的や理念を持つ仲間の中で、自分が天から与えられた使命や能力を誰しも持っています。それを自分が出し切り、遣り切り、みんなのために全身全霊を盡すとき自分にしかできないことが実現します。

もしもだれでもできそうなことや、他の人でもやれそうなことを努力していてもそれは自分にしかできないことになるわけではありません。他人ができないことをやるのは自分を発掘していく努力です。これは評価もされず認められず、時として孤高に歩むことになりますがそれでも自分らしさに出会う歓びはとても大きいものです。

見城さんは「朝から晩まで仕事について考え抜き、骨の髄まで仕事にのめり込む。そして上司や同僚ができない仕事を進んで引き受け、結果を出す。」このようにすれば、自然と仕事は面白くてたまらなくなるとも言います。そこまで熱狂するほどにやって結果がでれば自分らしくいることが誇らしくなっていくのです。

何でも自分を遣り切る体験があったり、自分を出し切る経験が増えればその人は自分らしく生きることが楽しくなっていくように思います。そのためには努力が必要です。見城さんは「結果が出ない努力は意味がない」とも言います。

「この世には二種の人間しかいない。圧倒的努力を続ける人と、途中で努力を放棄する人だ。苦しくても努力を続ければ、必ずチャンスは巡ってくる。死ぬ気で努力するから、大きなチャンスをこの手でつかめるし、圧倒的努力が10重になった時、始めて結果が出るんだ。」

つまりは結果は努力が足りないと思うことで周りのせいにしたり誰かに評価を求めたり言い訳をしたりすべきではないということです。あらゆる努力が積み重なり、それが多重になったときはじめて結果が出るといいます。ちょっとやっただけですぐに結果がでずとも、常に自分にしかできない仕事を根気強く熱狂してやり続けてはじめて結果が出るといいます。努力は誰でもできる努力ではなく、自分にしかできない努力をする方がいいということでしょう。

そしてこの自分にしかできない仕事は、素顔のままで本心のままに自分がこういうものがあったらいいと思うことに没頭していくことです。自分を信じて自分に誇りを持ち他の人がやっていないことに取り組み、それを積極的に引き受けた以上は途中で諦めず結果が出るまで貫徹することです。努力をするのなら本物の努力をする、それだけ捨て身になるということでもあります。

自分が裸になれないのも、自分の素顔が出せないのも、自分が本音でいられないのも、それはまだまだ本気本腰が入っていないからかもしれません。自分を忘れるほどに必死に努力を続けて自分らしく自分にしかできないことに巡り会える仕合せは幸福そのものです。自分らしさは周りの常識に縛られてふつうである自分、大多数の人たちと同じ自分に執着するのを捨てたときはじめて大切にされはじめるのでしょう。

世界や社會、組織の中で自分の存在価値や存在意義を感じられることは自分のままでいいという居場所が見つかることです。自分にしかできないことを見出すことは居場所を見出すことです。そしてその居場所を楽しくするのは自分にしかできないことをやる努力しかありません。

子どもたちの居場所を創造するためにも、自分に導かれた伝統や自分に流れている天才を活かし、自分にしかない持ち味を活かし、豊かな社會を創造していきたいと思います。