暮らしフルネスの工夫

テレワークが中心になる生活を送ると脳がとても疲れます。これは視覚に偏った働き方になるため、それを脳が補うために脳ばかりを酷使してしまうからです。例えば、オンラインでの画面越しの打ち合わせなども本来は直接に会って同じ空間で話せば、声の波長や雰囲気からの波動、また匂いや一緒にご飯を食べるなどの味わい、笑顔や共感など、あらゆる五感をバランスよく使って対応していきます。

しかし今は画面越しの視覚に頼るので、他の感覚を使えずその分、脳が今までのデータベースを駆使してイメージを補完しながら感覚の部分を代用します。これが脳を疲れさせる原因になっているともいえます。

先日、友人との話で「ある経営者が会議や打ち合わせをするときは必ず外を散歩し歩きながらに換えた」という人の話をお聞きしました。脳ばかりを疲れさせないように、五感を動員して会議や打ち合わせに参加することでバランスを崩さないようにしているそうです。

経営判断や決断には全体最適やバランス感覚が必要になります。最近では、現地に訪問することもできず、現場の感覚を嗅ぎ取る機会も減り、判断に迷いがでたり、事実とは乖離してしまったイメージが妄想になってしまっていることもあります。そうならないようにいかに五感を研ぎ澄ませていくのか、これからコロナ禍ではその感覚の調和をするための創意工夫が必要になっていくでしょう。

人間は五感の調和というものをするとき、脳の疲れは逆に取れていきます。その理由は先ほど話をしたように、脳は全体バランスを求めていますから全体の機能を使おうとしたがるのです。これは内臓機能などもそうですが、それぞれの臓器が役割をもって働くようにみんなで協力し合って体を全体調和しています。何かの臓器だけに偏ってしまうと、バランスが崩れ体調も崩れます。脳も同様に一つの臓器ですから、腸と連動したり、腎臓と連動したりしています。

その証拠に、腸は第二の脳とも呼ばれるくらい腸の具合が脳に影響を与えます。感情もまた脳の働きと連動していますから、感情を整えることで脳をリフレッシュさせることもできます。胃の具合一つでも脳は反応してきます。

そして脳だけを酷使すると人間はメンタルヘルスに影響が出ます。脳が疲れすぎることで、体の全体調和もととのわなくなります。まずは現代は何よりも脳を休めることが必要です。しかし脳を休めるのは、ただ考えなければいいのではありません。スマホで24時間の情報化社会ですから考えないことはほぼ不可能です。なので別の五感を動かすというのが休めることになると私は思います。

そのため、暮らしの工夫がこれからは欠かせなくなっていきます。私たちが提唱する暮らしフルネスは、この脳の疲れを取り払う薬であり病院でもあり、未病のための智慧なのです。

ひきつづき、新しい働き方、暮らし方、生き方、本物の日本の暮らしを甦生させていきたいと思います。