発明の甦生

私たちは、現在文字を活用して様々なことを記録していくことができています。人類が文字を使い始めたのは紀元前3200年ころの西アジアのシュメール人の都市の絵文字がはじまりだともいわれます。その後は、紀元前3000年ころにメソポタミア文明のくさび型文字、エジプトのヒエログリフが出たそうです。

文字ができたことで私たちは「歴史」というものを持つことができるようになりました。文字ができる前を先史時代といい、文字ができて私たちは歴史時代というようになります。

人類は紀元前500万年~400万年前からいるといわれていますがそうなるとそれまでは文字を使っていなかったということになります。文字という発明があってからまだ5000年くらいしか経っていないのです。文字ができるまでの人類は一体どうしていたのか、それを考えていると改めて原点や原始の姿を想像することができるように思います。

世界の少数民族には、数の概念がなかったり、文字を持たない民族も多くあるといいます。ハワイも、今から200年前には文字を持たなかったといいます。つまり、歴史の中に入っていなかったということになるのです。私たちは歴史というのを当たり前に認識していますが、実際には歴史とは文字の歴史のことです。文字にできるものが歴史といわれるもので、さらには時間という概念ですら人間が勝手に仕立てたものですから人類のみが発明した一つの道具ということになります。

動物の世界や昆虫の世界には、文字はありませんし時間という概念もありません。

そう考えてみると、人間というものは不自然なものを多く発明していくものです。本来、残らないものを残せるようにし、記録できないものを記録するようになったのです。しかしこれが文明を加速させて、今のような歴史時代を築いたということでしょう。

そういう意味では、文字の時代はまだはじまったばかりで終わるのかどうかもわかりません。その前はなかったか、もしくは風化してしまったのか、それもわかりません。ただ一つわかるのは、それは人間が創造した発明だということです。

そして文字が生まれる前に「トークン(TOKEN)」というものがあります。

ウィキペディアには「紀元前8000年頃から紀元前3000年までメソポタミアの地層から出土する直径が1cm前後の粘土で作られたさまざまな形状の物体のこと。物品の商取引や管理に用いられていたと想定される。近年ではフランス人考古学者デニス・シュマント・ベッセラ(英語版)(Denise Schmandt‐Besserat)が世界最古の文字であるウルク古拙文字の発生の起源をトークンに求めた「トークン仮説」で知られるようになった」とあります。

「数」という概念を持ち、それを「記録」するということを思いつきました。そしてその「証拠」を確かめるということをした。最初は粘土と絵文字とコンテナという保存庫でしたがそれが多様に複雑になり文字が誕生していったのです。

それが現在、ブロックチェーンの出現によってさらにその数と記録と証拠があらゆる境界を超えて交換できるようになってきています。

本来、これは何の発明だったのかとよく考えてから取り組むことで歴史を正しく認識することができるように私は思います。引き続き、子どもたちの未来のために人類の幸福のためになる発明の甦生に取り組んでいきたいと思います。