お互いの持ち味を生かす経営

人間には誰にも短所というものがあります。そのことで色々と失敗も重ねますし、苦労することがあります。しかし同時にそれは偉大な長所になる可能性もあります。短所を怖がるばかりに、長所を伸ばさなくなればその人も周囲も大きな損失になるのは間違いありません。

本来、誰にも負けないものを持っているものがその長所でもあります。例えば、プロであればこの分野は自分の真骨頂であると磨き上げられたものがあります。私も、色々と長所がありそれをひたむきに努力して伸ばしてきました。

特に発達の偏りがあるため、集中力が徹底しており一度深め始めるとほかのことはほとんど考えなくその一点を突破するために全集中していきます。しかし同時に、その時は隙だらけであり何かがあればひとたまりもありません。

私の場合はとても運が善いことに、善い仲間にいつも恵まれて常日頃からカバーをしてもらっています。結局、一人ではどうしても強みが出るときは弱みが出ていくように完璧になることはありません。だからこそ、仲間がいて弱みをカバーしてくれてその強みを肯定して活かしてくれるのです。

つまり能力を活かしあう関係というものは、大前提にお互いの弱みと強みを知りそれぞれに得意不得意を共有してともにフォローやカバーをし合って目的に向かって協働する価値観や風土が備わっているということです。

現代では、すぐに一人でなんでもできて当然というような価値観があり組織を蝕んでいます。それは教育によって、一人でできる人をつくろうとしたことで仕上がってきた組織間でもあります。上の偉い人が完璧であることを求めることであったり、カバーし合えばいいものを否定したり指摘したりして無理やりにでも矯正させようとします。

簡単な話ですが、手足が長い人に小さな細々としたことをやらせたり、力が弱い人に無理やり重たいものを運ばせたり、おっとりした性格の人にキビキビと指示管理させたりするのはこれはもうほぼ虐待の類です。しかしその人たちも自分がやらされてきたからかそう思うのか、やられて嫌だったというのにそういうことを他人に強要することが如何に多いかと感じます。

何より、人はお互いにそれぞれ自分にしかない自分らしい能力を持って生まれてここまで来たのです。それを上手に活かし、そうでないものはほかの能力のある人がカバーし合えばみんなでその能力に感謝し合えるような温かい関係が結べるように思います。

お互いの持ち味を生かす経営というものは、お互いの得意分野でやり遂げる覚悟を持ち、お互いの苦手分野はカバーしあう思いやりを持つということでしょう。

子どもたちがそれぞれの持ち味が発揮され、豊かに幸福な人間関係の中で世の中をやさしく平和にしていけるように自分たちがまずそのモデルを示していきたいと思います。