使命感と責任感~人が強くなるということ~

人は行動を起こすとき、使命感と責任感があります。

どちらかといえば責任意識が強い人は組織の中で自分が指示命令を受けて責任の範囲を決めて動いていた経験が長く、自分にプレッシャーをかけることで責任を感じて行動しようとします。責任が重大であればあるほどプレッシャーはかかりますから、そのプレッシャーのストレスに押しつぶされそうになりながら頑張っている人も良くみかけます。スポーツ選手なども大事な試合や、国の代表選手や決勝での試合などその責任感で本来のパフォーマンスが存分に発揮できずに悔しそうにしている場面もよく見かけます。

また組織では上司が部下にプレッシャーをかけたりする場面があったり、本人が自分でプレッシャーをかけて頑張ろうとします。誰かから指示命令されてやらなければならないことはその指示命令された範囲をきちんとやれば責任を果たしたと褒められるものです。責任の範囲を決めて運営する組織というのは、最高責任者がトップにいてその下に責任を切り分けた責任者がいて、またその責任者がまた細かく責任を切り分けて、それぞれの人たちに範囲を限定してその範囲内を責任を果たすように管理していくことで成り立ちます。自分の与えられた責任を果たしていれば、自分の仕事はちゃんと行ったことになりますから与えられた責任以外はやろうとしなくなるものです。しかしこれは責任感ではなく、責任のことです。本来の責任感とは、何のためにやるのかといった理念を自覚し、自分がやらなければ誰がやるといった自らの在り方や生き方に対する自覚でありそれが育っていくことが責任感とも言えます。

そして続けて使命感というものがあります。

使命感は、自分の人生の目的を持ち、なぜこれをするのかのその意味を知り、その上で自分は何を成し遂げるのかをはっきりと明確に持っていることをいいます。つまりは自分が今此処にいる意味や、役割、存在価値や存在意義を自覚しています。こういう人たちは責任の範囲を限定していません。指示命令があったとしても、自分の範囲を限定せずに自分からその範囲を超えて役割や責任を自らが拡げ使命を果たそうとします。

この目的を達成する意義や意味、この理想を実現することの必要性、なぜこれを自分がやるのかということが自分自身の人生とつながっていることに自明するのです。そういう人は、やるなといってもやりますし、休めといっても動きます。つまりは自分から使命に燃えて使命を果たそうと自ら行動し続けることが生きがいになるからです。

本当の主体性というものは、とても積極的なものです。つまり使命感を持って自分のいのちや人生の意義をもって日々に挑戦し続けるとき主体がはっきりと出て来ます。志が醸成されその志が先に出ていますから主体が積極的に動いているのです。その状態は、自分の魂と自分の身体が一体になっていますから最高の状態が引き出されてきます。魂と身体がバラバラでは主体はでてこず、どうしても受け身になってしまうことで最高のパフォーマンスが出てこなくなるのです。

責任感か使命感かということではなく、責任感を使命感にまで昇華させて働くことがもっとも世の中に貢献する仕合わせ、仕事の楽しさ、遣り甲斐や生きがいを感じる方法のように私は思います。その時、責任感が強すぎるよりもむしろ使命感の方が大きくそれに責任感が付き従うようなものがいいように私は思います。

何のために行うのか、自分が今此処でこれをやる意義が何かを知る人は不思議ですが使命感がバックアップしてくれます。そのバックアップは信念とも言え、その信じる力が心身を鼓舞してくれて理想への自動運転がはじまります。

本当の意味での持続する普遍のモチベーションというものは、他人から与えられるものではなく実際は自分で高めていくもので自分で育てていくものです。それは使命を感じることのように私は思います。使命感は、志を持ち、如何に常識を破っていくか、つまりは自分の範囲を限定せずに本来の目的や理念のために果敢に勇気を出して常識を壊し変化し続け行動していくことで育っていきます。

元ダイエーの創業者中内功さんはこう言います。

「人間とは、本来弱いものだ。だが、信念とか使命感で行動するときは、なぜか果てしなく強くなる。」

変革をするとき、変化を求めるとき、変化を怖いとふつうは思います。しかしその変化が怖くても武者震いしてそれでも果敢にやりたいと挑戦するチカラはこの使命感と信念があれば強さが備わり歓びや愉しさ幸せになっていくのです。

松下幸之助さんも「使命感があれば人は力強くなる、そして何をなすべきかの目標を持ち、使命感を持って、みんなが一致団結するところに成果がある」と言います。

刷り込みというものを取り払うのに、この使命感はとても役に立ちます。引き続き、どのように今までの刷り込みを取り払えるか、様々な研究を深めていきたいと思います。