捨てない教え

日本には持ち家信仰というものがあると、ある方からお伺いする機会がありました。確かにいろいろと調べていると、高度経済成長期に日本人は新築文化だといわれるほどに古い家は取り壊して新築を建て続けていきました。今の都市がそうなっているように、歪で景観などを無視したかつての新築が廃墟のようになっている光景をみると何をやってきたのかが推察できます。

特に今でも、持ち家信仰といわれるほどに家を持つことが何よりも価値があるように言われています。実際に、古民家甦生をしている関係でいろいろな相談を受けますが実際には負担になっている古い家や土地をなんとかできないかということばかりです。

活用できなくなった土地や家の問題が重くのしかかり、それが老後の大きな負担になっているのです。現在の空き家問題も、解決していないのに今でも新築を作り続けています。このままでは新築が多すぎて空き家になるという具合に、人口減少の問題だけではなく作りすぎによる無駄が発生して結局はゴミのように廃棄する運命になります。

現在の資本主義の構造は、生産をするためには消費し続けないといけませんから家に限らず作り続けるというモデルがなくならない限り、このゴミ問題はなくなることはありません。

本来、捨てなくてもいいものを捨てることを転換し長く使うことを大切にすることや、そもそもリサイクルとか廃棄とかの課題を考える前につくることを考え直すところからやり直す必要があるようにも思います。

ものをつくるときに、また生産する前にこれを最後はどうするのかまで考えてから取り組めば余計なものをつくらないと考えるはずです。むかしの先人たちは、子孫たちのことをよく考えてくれていてちゃんとつくる前によく吟味していたのが現在の建造物や文化財からもわかります。

今の自分の世代のことだけ、自分のことだけを考えるのではなく、子孫のこと、未来のこと、そして永続する人類のために今一度、どのように資源を大切にしてみんなで分け合っていくのかを考える時機が来ているように思います。

子どもたちのためにできるところから、自分の足元から変革をしていきたいと思います。