水屋箪笥

昨日は、宿坊に水屋箪笥を運びこみました。この水屋というのは、台所ということです。この「水屋」はもともと水を扱う場所という意味で、台所を意味します。そこに置かれる台所の収納家具のことを水屋箪笥といいます。

また「箪笥」は、室町時代頃には「担子」と書いていたといいます。この「担子」は、中国では天秤棒の両端にかけた荷物の意味で、日本では持ち運び可能な箱のことをいいました。それが江戸時代に入り、引き出し式のたんすが作られるようになった頃から、「箪笥」の漢字が当てられたといいます。円形の竹の器を「箪(たん)」、方形のものを「笥(し)」とし、これを合わせて「箪笥(たんし)」呼びます。この「箪笥」は、中国では飯などを入れる小さな器の「櫃」のことです。収納して運び出せるものということだったのでしょう。

水屋と似た言葉にむかしトイレのことを川屋といいました。これはもともと古事記に水の流れる溝の上にかけ渡した屋という意味が有力だといいます。むかしの古民家では母屋のそばに設けるのが一般的であったことから、「側屋(かわや)」とも呼んだそうです。

少し前を想像してみると、今のように水道もなく電気もありません。水は井戸を汲んだり、綺麗な川から引いてきたりと工夫したように思います。水があるところでないと生活できませんから、水がある環境の場所を選んで家屋は建てたのです。

自然に水があることの有難さやもったいなさを感じる機会も多かったように思います。宿坊でも、近くには綺麗な清流が流れ込んできています。とても清々しい水で、心身や癒され、心地よい風が吹いてきます。

むかしの道具たちや家具に触れていると、その時代の名残や余韻を感じられます。

一つ一つを甦生するなかで、先人たちの豊かで情緒深い生き方に触れることができることもまた仕合せです。丁寧に甦生し、山での暮らしをととのえていきたいと思います。