心と器

「ゆるし」をテーマにして取り組んでいると、そのゆるすことの難しさに驚くばかりです。このゆるしというものは、今の自分を丸ごとゆるすことですがそのためには自分の過去の傷を癒したり、自分の視野を広げたり、自分の体験した歴史を認めたり、あらゆる自分自分の今と向き合いそれを許容できなければなりません。

実際に許容するというのは、言い換えれば器を大きくしていくことであり自分自身のゆるしの器が大きくなればなるほどにゆるしの許容量もまた大きくなります。しかしこの器を大きくするというのは、自分をゆるすことができること、そして他人をゆるすことができることに比例します。自他をゆるすことは、自分自身の器を育てていくことでありこれは一朝一夕ではできないことです。

人は自分自身の器を見るとき、そこに自分の本性や本体を心に映し見ます。この時、器の周りの境界線には縁というか壁ができます。その壁がプライドであったり、トラウマであったり、恐怖心であったり、先入観であったりと、自分の器がここまでと決めているものが壁になります。その壁を壊されることもあれば、その壁を融かすこともあり、もしくはその壁によって自分を守ることもあれば、誰かを守ることもある、つまりは自分の心を載せている器が自分自身の心を支えているのです。

人は心が大きくなっていくと、それを載せる器もまた大きくなっていきます。例えば心が大きくなるのに器が小さければ器の壁が邪魔をして心がその器よりも外に出ることができません。その器は心の成長を抑制し、心の壁を厚く大きくしていきます。その器とは自分の価値観のことであり、自分の価値観を変えていかなければ心のままに自分をゆるし生きていくことが難しくなるのです。その価値観の壁は、例えばありのままを受け入れられなかったり、執着にこだわったり、他人からの評価が気になったり、誰かのせいにしたり、等々とプライドの壁として頑固に強くなるばかりです。

その心と器の関係を良好にしていくことで視野が広がり、許容量もまた増えていくように思います。人は心の成長に伴い、必ずこの器の成長があります。器を大きく豊かにしていくためにも、ゆるしの実践は欠かせないものです。

ゆるすためには、今のありのままの自分をあるがままに丸ごと認めることです。自分のことを自分が受容する、もっと簡単に言えば今の自分がもっとも今の自分に相応しいとそのままの自分でいいと自分自身が受け容れることです。そしてそのためには積極思考というかプラス思考というか、物事を前向きに捉えるということを大前提にしていなければ心は器と調和することはできません。

ゆるしとは、つまり前向きな心器を持てることでありすべてのことを全肯定する幸福の道の理なのです。これはまさに自然界に生きる生き物たちが安心してこの世でいのちを全うしている信の境地のことです。今の人間の社會は安心から遠ざかって孤独と孤立の雰囲気に心を病む人が増えています。

安心して子どもたちが生きていけるように、ゆるしを通してあるがままの自分で自由に幸福になり社會を仕合せにしていけるようにまずは自分たちから生き方を改め見直し、心器を豊かにしていきたいと思います。

  1. コメント

    感情的になると八つ当たりをしたり、見境いがつかなくなり、そして笑顔が消えていくのが自分のパターンです。口に出していなくても不機嫌で意見はあっても、まとまっていなかったり、大雨が降りやむのを待つように、じっと時間が解決してくれる待つのがこれまで常だったように感じます。同時にこの時間は誰かを許す時間ではなく、本当は自分を受け入れるためだったのかもしれないと思うと、まだまだ鍛錬が必要なのだと気付かされます。

  2. コメント

    「自分を許せない」と「人は許せない」ようです。そして、「自分を許す」には、「自分が許されていることに気づくこと」が必要なようです。ただ、この「許す、許せない、許さない」というのは、自分都合の裁き感情です。人生は、あらゆることが「その人の器次第」と言われます。自分の「許せる範囲」の変化を知って、「自分の器の大きさ」を自覚しておきたいと思います。

  3. コメント

    先日の致知に「教えるじゃなくて伝える役、それを受取ろう自分の身に刻み込もうとするから伝わっていく」という言葉がありました。教師であれば相手次第に出来るかもしれませんが、伝道士や聴福人であれば相手がその状態になっているか、または相手がそうなれるような働きが出来ていたかと省みることになります。まずは相手の声を聴き、相手を知り、こちらもまた「教える者、乗り越えた者」という高い立ち位置ではなく、同じように苦労して歩んでいるものとして同じ立ち位置に降りること。それは膝を曲げて子どもと同じ目線になって話すかのような謙虚であり熱意のある心の姿勢なのかもしれません。技術よりも生き方の方を磨いていきたいと思います。

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