茶徳

「茶徳」という言葉があります。もともとお茶というのは、お茶を一服というようにむかしはお薬として服用していました。もともとお茶は諸説ありますが、中国やインドではじまったといわれます。伝説によれば中国の漢方の祖といわれる神農(しんのう)がお茶を服用したのがはじまりとも言われます。

この神農は、古代中国の伝説に登場する三皇五帝の一人です。中国では神農大帝と尊ばれ医薬と農業を司る神になっています。別名は薬王大帝や五穀仙帝ともいいます。

漢方の祖となるのは、自分自身で薬草と毒草を見極めるために百草を嘗めて薬効や毒性の有無を検証したと言われています。また神農は本草学の始祖でもあり、最古の本草書『神農本草経』にその名が記されます。

その後、日本にお茶が入ってくるのは平安時代だといわれます。最澄や空海もお茶を持ち帰ったといわれます。その後、鎌倉時代には禅僧の栄西が茶種や抹茶の作法を宋から持ち帰ってきました。その栄西が遺した本に「喫茶養生記」があります。これは栄西が学んだ茶の知識や効能を集約したお茶の本でそこには「茶は養生の仙薬なり」と書かれます。

また栄西からお茶の活用法や栽培方法を伝授された方に明恵上人がいます。この人物は、日本ではじめてお茶を種より栽培した方だといわれます。そこには、お茶の十徳といって湯釜に言葉を刻みその功徳を伝道しました。

そこにはこうあります。

一、諸天加護 茶を喫すれば、仏の守護により幸福になれる
二、父母孝養 父母を養い、孝行するようになる
三、悪魔降伏 悪心邪念を除去して、快適な生活を保障する
四、睡眠自除 睡魔を追い払ってくれる
五、五臓調和 茶を喫すれば、体が整い、健康になる
六、無病息災 病気することなく、寿命が延びる
七、朋友和合 周囲の人とも和合できる
八、正心修身 正常な心で修身できる
九、煩悩消滅 諸悪の根源たる欲望を断ち切ることができる
十、臨終不乱 死に臨み、少しも惑わず、正念が得られる

お茶を何気なく普段から私たちは当たり前に飲んでいますが、本来のお茶とはどのようなものであったか。そしてお茶のはじまりから今に至るまでどのように大事に伝承されてきたか。

改めて深めてみると、この茶徳の偉大さに頭が下がります。時代が変わっても、大切なお茶の徳が伝承され続けるように新しいお茶の徳を私なりに甦生させてみたいと思います。